ガブXスカイウォーカー

明日に向って撃て!のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)
4.0
傑作。まず『明日に向って撃て!』(原題: Butch Cassidy and the Sundance Kid)という邦題が良いじゃないか。タイトルで作品の見方の変わる好例だ。
また、あらためて今作を観ると、このシーンあの映画で観た、あのシーンはこのドラマでと、色んな映画、TVドラマなどに影響を与えていることがわかる。追いつめられたブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)とザ・サンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)が断崖から川に飛び込むシーンや瀕死になりながらも軽口を叩きながら勝ち目のない戦いに飛び出す有名なラストシーンは誰でもどこかで似たシーンを目にしたことがあるはずだ。

ブッチ・キャシディとザ・サンダンス・キッド、2人の男は刹那的に強盗を繰り返し、追っ手から逃げ回る様は観客の興味を惹きつける。だが、2人(一時的にサンダンスの恋人エッタも加わって3人)はどこに行っても明日はない。こんな緩慢なテンポで進み、常に哀愁の漂う暗い作品が第42回アカデミー賞で数々の受賞をしたのは、時代、そして観客の求めていたものに合致したからか? これが いわわゆるアメリカン・ニューシネマ(1960年代後半から1970年代半ばにかけてアメリカで反体制的な人間の心情を綴った映画作品群)か。
いや、今作は難しいことを考えなくてもポール・ニューマンとロバート・レッドフォードのカッコ良さを観るだけでも充分な価値のある傑作であろう。