このレビューはネタバレを含みます
少年の目線、太陽の空
2012年3月14日 17時57分
1987年、原作JGバラード(クローネンバーグの「クラッシュ」の方の原作)。特撮ILM。製作キャサリンケネディ、フランクマーシャル。製作監督スティーブンスピルバーグ。
「戦地の馬」公開中のスピルバーグ。やっぱり大好きスピルバーグ。
「インディジョーンズ」ボックス、「プライベートライアン」等々DVD購入。
スピル見ていない作品を見てみようシリーズ。本作一回挫折。で、よーく見てみると
私のお気に入り俳優クリスチャンベイル
ネオバットマン主人公「ダークナイト」でメガヒット
驚愕の激やベイルせでこっちの方がアカデミー賞級の演技が見れる「マシニスト」
クリスチャンの隠れた鋭いスラッシュホラー「アメリカンサイコ」
等々見てきましたが、
クリスチャンベイルの子役時代の作品だったんですね、写真を凝視したらわかりました。
ワーナービデオ鑑賞しました。
いやいやいや素晴らしい作品でした。うれしいな、この映画の心地!
ちょうどスピルバーグ初めての正当派作品「カラーパープル」の次の作品であります。
日本が関わる戦争物とは、わかっていましたが、さすがスピルバーグ!
こんな作品を撮っていたとは、私はラストまで何回か落涙。
戦争映画は、通常2パターン。
戦争現場のお話と
戦争を取り巻くお話と主に分かれます。本作は後者。
物語は、クリスチャンベイル少年扮する金持ち家族が戦争に巻きこまれます。日本軍がいるチャイナのある地域。ベイル少年は、空や飛行機に憧れるちょっと生意気な子供に扮します。
ベイル少年、もう、すでに演技が凄いんです。
完全に魅力されまして、
なんか最後の方、大人のクリスチャンベイルの姿が目に焼きついてるので、なんか子供のベイルを見ていてちょっと気持ち悪く見えます。大人の残像感がのこっているので、小さな背の少ベイル年が奇異にみえたんです。
ベイルがはじめで、ハイソで、生意気で、うるさいで、ウザくて、という子供が
次第に戦争に巻きこまれ
段々生き様を変えていく
その姿の素晴らしさ!
クリスチャンベイルファンは、本当に必見。顔の変わり方が素晴らしい!
そして
スピルバーグがあくまでも
戦争の真偽とか
可否とか
戦略とか
残酷とか
あん時こうしたから、どうのとか
政治が、誰々が、こう知れば、こうやれば、こうなって悪いとか
とかく戦争映画の描きたがる部分をよそにオキ
ひたすら
ベイル「少年」目線でお話は展開していきます。そこが良かった、安心した点でした。
アメリカでは、そこが敬遠されたようです。
スピルバーグは日本を本当に理解ある姿で表現しています。その視点の素晴らしさが嬉しかった!
ガッツありそうなガッツ石松
ボケをかましていたざぶとんの山田君
誤解まねきそうですが、ピリピリ軍人を演じていて、一番出番多し、「スネークマンショー」から今や俳優の伊武雅刀さん
それぞれ日本キャスト必見!
それからジョンマルコビッチの素晴らしく不甲斐なさそうな若者
その周辺若者で出演のベンステェーラー、必見
スピルバーグの正統派もの戦争物の素晴らしい一作でありました。
クリスチャンベイル少年を通した戦争。
それは、
日本軍から
戦争の空から
捕虜収容所から
見た
太陽の国
太陽光り輝いていた幻想のような
太陽色のような悲惨な体験だったんじゃないかと思いました。
そのオレンジ色のような映像カラーは、実に苦々しく、痛ましい光に違いないのです。
少年の目線で描いた
悲劇のオレンジなる閃光
それは少年を悲しく絶望的に成長させた体験だったのかなもしれません。
ラストに私もどこか安らぎを感じる安堵に包まれました。
ベイル少年のあまりの変わりように翻弄され、追体験し、最後に安心したのでした。
少年は、太陽の空に憧れと逃避空想を追い求めていたんだと思いました。
スピルバーグ、やっぱり好き度がますます増しました。
さて
太陽の帝国から映る姿とは?
少年の目線、太陽の空に何が見えるか?
是非、ご覧ください。
追記
スピルバーグはとはいいつつ、
戦況、戦略物語を「プライベートライアン」、テレビドラマ「バンドオブブラザーズ」「ザパシフィック」でがっつり表現しています。そして「シンドラーのリスト」でがっつり「悲惨さ」を爆弾級に表現していきます。戦争は物語の背景にすぎないと「戦火の馬」インタビューで言ってます。
追伸 原作者JGバラードさん、「クラッシュ」とこの映画の原作のふり幅が、違いすぎるなぁー。