TakahisaHarada

台風クラブのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

台風クラブ(1985年製作の映画)
3.9
中学3年生を描いた青春(思春期?)群像劇。中学時代に感じた何だか分からないソワソワ感が描かれてる作品ってなかなかないのでとても良かったし、ソワソワ感だけで終わらず台風のおかげで何かが起こる展開も良い。普通の映画じゃ見られないような描写が多いのも印象的。
梅宮が言った「あと15年の命」は今まさにその年代なので刺さる…。

吉田大八さんが「桐島、部活やめるってよ」を撮るときに参考にしたと言っていたように、曜日の見せ方とか、勉強も部活もできてモテる男子が想定外の行動を起こす展開とか、たしかに似てるところはあるなあと思った。桐島は高校で本作は中学という根本的な違いはあるので、本作の方が幼くてより衝動的な印象はある。

理恵の家出は高校で東京へ行ってしまう三上の存在、「土地の女」になってしまった母の存在を意識したことで起こした衝動的な行動だったんだろうか…。「そうして私たちはプールに金魚を、」なんかでも出てきたテーマ。東京のどこかの商店街で出会うオカリナの男女は何だったんだろう…。

1人で考え込むシーンが多かった三上だけど、なぜ「みんなが生きるために死んでみせる」という境地に至ったのかが分からなくて作品全体のモヤモヤ感に繋がってる気がした。100%納得できる同級生の死なんてそうそうないだろうからこれが正しいのかもしれないけど。
他の5人が寝る中机を並べる長回しのシーンは、何してるんだろう?から不穏な空気を感じて、最後には嫌な予感が確信に変わる感じがした。「ミッドサマー」アッテストゥパンの儀式見たときと同じ感覚。