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台風クラブのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

台風クラブ(1985年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

凄くインパクトのある作品だった。思春期の繊細さ、奔放さ、純粋さ、刹那感を見事に描ききっている。台風が近づいてくる高揚感と、思春期特有の言葉にならないもどかしい気持ち。それが爆発する、大雨の中で裸で踊り狂う少年少女の絵面は強烈。今では規制されてできないと思われるだけに、画面の吸引力がえげつない。

ただ、あまりにテンポが悪いのとエピソードが離散的だったのがキツかった。細やかな感情の動きを表現するためにたっぷりと時間を使ったり長回しを多用したり細かいエピソードを入れ込んでいる意図はわかるのだが。登場人物の生徒が多い割に引きの画面ばかりでわかりにくく、キャラクターを把握するまでに時間がかかったのもストレスだった。ただこれもカメラが寄らないことで彼らを客観的に俯瞰で捉えたいという意図はわかるから、難しいところ。全員演技が下手だったのもしんどかったなぁ。

「ただいま」「おかえり」を繰り返し、酸で女子の皮膚を焼き、その女子をレイプしようとする少年がめちゃくちゃ怖かったのだが、説明が一切ない上にサラッと流れてしまったので消化不良だった。なんだか繊細ぶっているクールな主人公よりも、彼のことをもっと知りたかった。

もう一回観ることはないだろうが、忘れられない映画にはなった。
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