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オアシスのkouのレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
5.0
イ・チャンドン監督作品。社会に適応できない男ジョンドゥ(ソル・ギョング)は、ひき逃げにより服役後出所し、重度脳性麻痺のコンジュ(ムン・ソリ)と出会う。彼らは次第にひかれあっていく。他の監督にこんな愛についての映画を撮ることはできないだろう。

主演の二人の演技が凄まじい。落ち着きがなく、鼻をすすり続ける男をペパーミント・キャンディーのソル・ギョング。そして、脳性麻痺の女性を演じきったのがムン・ソリ。見た人誰もが圧倒されるだろう。体を張って、全身全霊をかけて演じきっている。

障害のある女性と周りから煙たがられる男の恋愛。扱う上でとても難しい内容に思えるが、今作ではそれを見事に描いている。それは決して現実に背くことなく、嘘をつかず、それでいて映画的な奇跡も描いて。言葉にするとあっけないが、これをできる監督がどれほどいるだろうか。

また、「愛」についての映画と書くと陳腐にも思えるが、本作はまさに愛の物語といわざるを得ない。ある片隅に二人が生きる輝きを見た。彼らの挙動一つ一つが愛おしくなってきて、そして輝かしく思える。ただそれを決して甘いだけで終わらせず、骨太な作品に仕上げているのも流石。

障害のある人を描いた作品でこれほどまでに愚直に向き合った作品も珍しいと思う。傑作である。
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