あゆみ

リトル・ランボーズのあゆみのレビュー・感想・評価

リトル・ランボーズ(2007年製作の映画)
4.3
とってもよかった。途中までふんふんと思いながら見てたけど、ラストでほんとにジーンとした。男の子2人があり物で映画を撮影してて、別に大した事は起こらないし、家と学校の周りを行ったり来たりして街から出るわけじゃないのに、ウィルの想像やイラストや作った映画の世界観や、パンクな留学生が纏う異国の空気やちょっと大人の世界なんかと地続きになってるおかげで、スケールがずっと広く感じられる。フィクションは、特に大したものじゃない現実を違う角度から見せて、奥行きや深度を与えるものなんだ、ていう事を、頭にネクタイを巻いて飛んだり跳ねたりしてる11歳の子を見ながら思った。

最後にリーが見る映画は、リーが体験した事のツギハギなのに実際に見た光景とは違ってて、それがとてもよかった。どうにもならない悲しい記憶も嫌な記憶も、編集してフィクションの枠を通す事で新しい意味を与える事ができる。嫌な記憶の隣に幸せなお話の場所ができる。複雑なお家の事情があって、それぞれ切ない思いをしてきた2人が、自分たちの思い出から新しいお話を作ってプレゼントしたりされたりするラストは、癒しのプロセスだし、本当にフィクションというものの良さを表しているように思えた。

主役の2人はどっちも可愛いけど、リー役の子が本当に演技が上手で、大人びた『参るよね』みたいな顔でシニカルに笑うたびにこっちが参りそうになった。そんなリーが11歳の泣き方をするシーンはとてもよかった。ウィルのイラスト帳やお兄ちゃんの倉庫や留学生の日常や、世界観を作ってるこまごました部分もすごくよかったので、きっとまた見るだろうなと思う映画だった。
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