氷雨水葵

仄暗い水の底からの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)
3.5
2022年リライト86本目

たまにはジメっとしたのを

◆あらすじ
もうすぐ6歳になる娘・郁子(菅野莉央)を連れて、新しい就職先である出版社の近くのマンションに引っ越してきた松原淑美(黒木瞳)。ふたりで住むには十分すぎるほどの広さで、快適な生活を送っていた。

ある日、淑美は郁子がマンションの屋上に上がるのを目撃する。しかも、高架水槽の近くで誰かと話している様子だ。だが、そこには誰もおらず、郁子が子ども用の赤いバッグを提げているだけだった―――。

◆感想
夏はやっぱりジャパニーズホラーよな!!
梅雨の時期はとっくに終わりましたが、たまにはジメっとした映画もいいじゃない、ってことで懐かしの本作。いや~序盤から不穏な雰囲気MAXでテンション上がりますね。大雨(とくに梅雨の時期)が降るとどうしても本作を思い出します。子どものころに観てめっちゃ怖かったのを覚えています。黄色のレインコートの少女が怖いんじゃなくて、なんというか作品の色味がね…。あと、音ね!海外ホラーみたいに急に来るんじゃなくて、ジワジワ来る感じがほんまに怖いね!?

黒木瞳の演技素晴らしいし、郁子を演じた菅野莉央の演技もうまくて拍手を贈りたい。こういうアパートのエレベーターって怖くて乗れないんよな…私はマンションの1階に住んでるので乗ることはないですが、昔は友達の家に遊びに行くのによく乗ってました。本作を観て以来、もしかしたら誰かいるんじゃないかと…。
てか、本作で一番怖かったのは、郁子ちゃんが赤いバッグを開けようとするときの表情よ(笑)目見開いて口元笑ってて、ほかのどんなシーンよりも怖かったよ。

ただ、黒木瞳演じる淑美が精神的に不安定だっただから、なにかしらの幻想を見てしまった感が否めない…。アパートも欠陥だらけで、不動産屋も対処してくれないときた。元旦那と親権争ってるし、淑美自身も幼少期に幼稚園に親が迎えに来てくれないトラウマを抱えている。メンタルごりごり削れるような出来事が重なって、結果命まで持っていかれるという…。実際にレインコートの少女はいたのだろうし、その子に選ばれたのは事実やけど、『リング』の松嶋菜々子のようにもう少しタフなキャラクターでもよかったかも。

あとは、もっとテンポよくストーリーが進めば個人的にはよかったかと。ジワジワ来るのがジャパニーズホラーの醍醐味だけど、恐怖演出はそこそこやし、少し物足りないです。子どもの頃は、ラスト郁子が泣きながらエレベーターを追っていく姿に感動しました。

『シャイニング』パロディは必見です(一瞬で終わるけど)!
氷雨水葵

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