blacknessfall

Queen Rock Montreal cine sound Ver.のblacknessfallのレビュー・感想・評価

Queen Rock Montreal cine sound Ver.(1982年製作の映画)
5.0
言っても別にさほどファンでもないのにライブ観てその余韻と興奮が残ってる間だけ異様にそのバンドにのめり込む期間工みたいなマニアっているじゃないですか。それってどんなに造詣が深くてもミーハーなファンに過ぎないよね。QUEENに関してはおれがその期間工ファンだからよく分かるんだよ。
そもそものところ、1回目の抽選でチケット取れたから行くことにしただけでそんなに強く行きたい気持ちがあったわけじゃない。むしろ4年前の方が行きたい気持ちが強かった。でも、4年前は何回も抽選エントリーしてもハズレまくりでどうでも良くなって諦めたんだよ(この辺、如何にも薄いファンだよな)。で、今回、先行抽選の告知がSNSに流れてきてどうせ当たらないだろうと遊び半分でエントリーした。当選を考えてないから48000円のゴールド席と25000円のSS席申し込んだら当たっちゃっんだよ、SS席のほうが。ハズレるもんだと思ってたし、そしてそんなに行きたくなかったからちょっと困惑したよね。それなら前回当選させろとも思った。1回目だったしハズレた人も多数いる中、何でおれを当選させてんだよー、と焦った。それに難関であるQUEENの先行抽選の勝者のおれが何故かThe Damnedの先行抽選は全てハズレ、一般発売でも取れないなんて不条理だよな。The Damnedの方が数千倍行きたかったのに🥺 でも、QUEENのライブは素晴らしいものだったから行けてよかった。薄いとは言えやはりファンはファンなのでな😏

そんなピュア・パートタイム・マニアだから先日の東京ドーム公演の熱に浮かされて本作を限定上映する、『EXPERIENC IN IMAX QUEEN ROCK MONTREL』観てきたよ。

ライヴの時、現ボーカルのアダム・ランバートとフレディ・マーキュリーの質の違いが気になって、それが何なのかイマイチ掴み切れなかったんだけど、本作でそれがよくわかった。
まず、質が違うからと言ってアダム・ランバートは否定したいわけじゃない。QUEENのあの多彩過ぎる楽曲をレコーディング・レベルで何一つミスなく歌い切ったランバートのポテンシャルに感動したし、本当にありがとうって感じで敬愛の気持ちしかない。ブライアン・メイとロジャー・テイラーに彼とならQUEENをやれると言わせた実力は本物で世界で一番フレディに近い男だと思う。

レコーディング・レベルと言ったけどランバートの方がフレディよりレコードに忠実に歌ってた。キーだけの話で言えば高音もしっかり出ていた。本作を観るとフレディはかなりフラットにアレンジして歌ってるし伸ばすところをシャウトにしてる。ライヴならではの揺れやブレがある。
これってフレディがレコーディングどおり歌えないてことじゃなくてボーカルリスト、パフォーマーとして優先させるものが再現ではなくオーディエンスを圧倒することに主眼を置いてるからだと思う。とにかくアゲアゲでアグレッシブで猛々しいんだよフレディは。「Save me 」のような泣きのバラードすらも雄々しく叫んで歌う。歌いあげるというより、声を投げつけ浴びせかける唱法で、声も鋼が飛んでくるというか、レーザービームのような声質なんで聴き惚れるというより撃たれ捩じ伏せられる快感がある。ここが正確無比で聴き惚れさせるタイプのアダム・ランバートとの決定的な違いなのかと思った。
後は人間力の違いも多いかな。フレディはとにかく自己肯定の塊で貴族気質。そこから来るドヤり感が溢れ出てる。常に自信に充ちてて雄々しい。だから曲がアッパーに跳ねる時の爆発力が半端ない。「BOHEMIAN RHAPSODY」のオペラパートが明けてからの"So you think you can stop me ~♪"のとこなんてテンポ感も変なんだけどドヤりとレーザー高音絶叫でとてつもなくかっこいいんだ!同じパート、ランバートは正確無比だったけど、だけにかもだけどちょっと物足りなかったんだよな。

この世界一フレディに近い男、アダム・ランバートですら肉薄できないフレディの爆発力とドヤり王様感、何気にここを再現してたのは、フレディ追悼公演のアクセル・ローズだと思った。アクセルも「BOHEMIAN RHAPSODY」のあの部分歌ってるからランバートと比べるとわかるけど、アクセルは何時ものあのアクセル声で歌ってるからまったく合ってはいないんだけど、声量と「ブードゥー教の呪術師のようだった」とブライアン・メイに表された変だけど華のある動きで聴衆を魅了している。

なんかフレディとランバートの比較だけで本作のことにあまり触れてないので、少しいうと、このライヴ、「another one bite the dust 」
がアメリカで大ヒットしてようやくアメリカで商業的に当たった時のものでイントロのベースラインをジョン・ディーコンが弾いた時に大歓声が上がった。みんなこの曲を待ってた空気感が伝わって時代を強く感じた。この時期のQUEEN、ジョン・ディーコンとフレディ主導でディスコやファンクに傾倒するんだけど、ブライアン・メイはそれを快く思っておらず(ソロが弾けない曲が多いからな笑)、アメリカでは当たったもののヨーロッパ(おそらく日本も)でセールスが落ち、フレディとディーコンの責任を激しく糾弾したり、バンド内の空気はかなりギスギスしていたらしい。その不穏な感じもしっかりパフォーマンスに出ている。
選曲も今は絶対にやってくれないナンバーもあり、80年代初期QUEENを完パケした貴重な作品だと思う。

Bohemian Rhapsody (Live) (HD) - Axl Rose / Elton John / Queen
https://youtu.be/NNaLax4T-oM?si=8VWqgk6QOlmzso09
blacknessfall

blacknessfall