メランクさん

シークレット・サンシャインのメランクさんのレビュー・感想・評価

5.0
【8月毎日映画 9日目】

イ・チャンドンのレトロスペクティヴ先行上映。
来日舞台挨拶ということで行ってきました。
本当に久々の2回目の観賞。
劇場には行けてなかった気がするのですが、
どこでどう見たのか思い出せないなぁ。

今回見てとにかく印象に残ったのは
主人公シネの圧倒的な弱さでした。
これは特に自分も親になったから感じたのかもしれない。

隠れた息子を探して泣き出す序盤から
現実を目の前にしたときの反応が
ちょっと本当に理解できない。
犯人からの電話がかかってきてからもなすべきことが定まらず、
社長のとこに走ってから泣き崩れたり、
お金を多く見せようとしてやめたり、
ろくな交渉すらできずに事故りそうになる始末。

そもそも死んだ夫の故郷に移住するという行為や
借金返済のために使った保険金をあるように見せる行為には
現実を直視せずに自分の行為を正当化しようとする必死さが見える。
とにかく生きてくのに必要な強さを欠いており、
その欠如を狙っているものこそ、宗教だったりする。

シネは崩壊したように奇行を繰り返すけど、
そのどれもが中途半端で直上的で
どこまで行っても本質にたどり着ける気がしない。

結局、これこそ私の思う「俗」というもので、
人が自分の俗さから目を背けたいときに
宗教というのが効果的なんだろうなと思う。

本当に意地悪くて救いのない作品だけど、
こんなことを描き切るイ・チャンドンすごい。

レトロスペクティヴ行きたいぜ!