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未来の想い出 Last Christmasのレオピンのレビュー・感想・評価

未来の想い出 Last Christmas(1992年製作の映画)
3.7
藤子・F・不二雄の漫画「未来の想い出」が原作。
森田監督の初期作品のような才気走ったところはあまり見られず、いい意味で落ち着いてきた頃。

主演の清水美砂と工藤静香。二人とも公開時22歳だけど大人っぽいわー
そしてまさかの和泉元彌。記憶の中では坂本一生と同じ枠に入っていたがちょっとだけ見なおした。

バブルの余韻が残る東京都心の空気。銀座時計台前のあのガスった夜景がとても幻想的だった。挿入曲はメン・アット・ワーク、アース、佐野元春、大沢誉志幸とヒットメドレー連発で80年代リバイバル作としてもオススメ。

お話はいわゆるループもの、81年から91年までの間を二人の主人公がくり返す。既に2回死んでしまった。3回目も果たして・・・

結局、ループから抜け出すには、
本当に自分がやりたいことを懸命にやり抜くこと。あるいは愛する人のために真剣に生きること。

反対に運命を変えられない生き方は、
誰かのお手本をなぞるだけの生き方だったり、ただ自分本位にお金や数値だけを目標に生きてみたり。

納戸遊子(清水)は、グルメ漫画「食いしんぼ」で未来のヒット作から盗作したり、その事で本来の作者を押しやってしまったことに罪悪感を抱く。

金江銀子(工藤)は、株や証券セミナーで儲けたり、NTT株高騰やバブル崩壊、湾岸戦争を予言したりするが講演の檀上で暴漢に襲われたりもする。デザイナーの恋人の才能を信じ抜くことが出来ずに、これも未来から盗用したボディコンスタイルを彼氏にゴリ推ししたてみたりと。

ループすることを輪廻転生と捉えると、運命を変えられない=もう一度生まれ変わって人生やり直しコース。本当の人生を歩めた、生ききることが出来た場合にのみループから抜ける。次のステージへ上がっていける。晴れて輪廻から卒業。

なるほど、人は「覚悟」を持って生きた場合にのみ運命論から逃れられる。「安心」を選んだらくり返してしまうのか。
と、思いがけず大変にスピリチュアルな作品ととらえました。

劇中、漫画家のパーティーで藤子Aに赤塚、石ノ森、さいとう、つのだ、永井といった先生方が一堂に集結。そして占い師で藤子F先生も。なんという豪華メンバー。

⇒撮影:前田米造
⇒音楽:加古隆
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