映画に憑かれた者達の 桃源郷
ＢＯＸ東中野からポレポレへ…
ここは 映画を選ぶ場所じゃない
むしろ 観客を選んでしまう魔都

今宵は"坐"の方にて 亡き井川監督の
原点というべき作品をしみじみと…
『鬼越のこと』の ８mm上映まで！
映画ファン垂涎 いや逃がせない集い

『ついのすみか』
これで２度めの鑑賞のはずだが
初見と変わらず それ以上の衝撃で
脳と臓器が 官能的な背徳に囚われる

罪とエロスの絶対的な必然性が
倫理を超越し 感覚的なものとして
深層心理に浮遊するかのような
抗えぬ欲求を前に 言葉は意味を失くす

包丁を沈めた水の 人工的な汚染と
飲み込んで 吐き出されたアサリの砂
男が姉にしたコト 妹が男に赦したコト
その正体という名の真実の砂を
僕らは受け入れるのか 拒絶するのか
光も届かぬ静かな深海を棲家に
ただただ永遠の瞑想に耽りたい…


『鬼越えのこと』
ポジフィルムの保存の良さといい
そして おそらく日本映画界で大きく畝り
さらには 自主映画として 広く沸き起こった
８ｍｍ記録での 燃え上がるような情熱が
こげるほどに焼き付いた映像…恐れ入ったなぁ

花火 提灯 ホームの街灯 やがては消える明かり
そして ほのかに照らされる人の表情の移ろい
映画って 記録の役割を超えた 記憶の旅なんだな

姉が失踪し、残された男と毎夜逢瀬を重ねるを重ねる妹がいた。井川耕一郎監督作のヒューマンドラマ作。2人の独特な空気感が凄まじく、自主映画ながらの荒さが、より雰囲気を際立っても見えて感じられる。新たな官能さがある。そしてあさり映画。映画としての娯楽さ、面白さにはつながっていない。

ぴあフィルムフェスティバルにて

セリフ不明瞭でアサリの寓意性はあまり汲み取れなかったとはいえ、画だけで食らった

併映の計良美緒『悩ましき東京タワーのもとで』『紫の部分』が、filmarks未登録のため、ここに併記

ここ数年、回避依存、愛着障害、アダルトチルドレン的な女性に巡り会いすぎていて、運命を呪い続けているのだけど、そういったパーソナリティのいち要素として、自らの中の女性性への嫌悪や抑圧、男性嫌悪、性的なものへの嫌悪を抱えながらも、しかし、真実の愛、それよりもっと軽い承認を求めるかにはグラデーションがあると思うけど、そういったものを求めては最終、拒絶し、さらに嫌悪と罪悪感を積み重ね、しかしまた繰り返していくというものがあると思うのだが、この二作品では、両メインキャストともに、そういう闇の深さでもって男性を拒絶するというまでの物語に踏み込んでいるわけではないけど、女性性の嫌悪、戸惑い、穢れの意識をテーマにしている点、明らかにそういうものを物語る意欲があったのだろうと感じ、それを自分に引き寄せて私的にダメージ受けただけであるけど、計良氏、特に他作品は残さず、タイムリーに、昨年亡くなったそうで、無念