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噂の娘のENDOのレビュー・感想・評価

噂の娘(1935年製作の映画)
4.2
邦江(千葉早智子)と紀美子(梅園龍子)の異母姉妹は美しい。姉妹の相克。乙女ごころから比べると人間の哀しみに焦点が当てられている。健気な人物ほど踏み躙られる。傾きかけの『灘屋酒店』は何やら違法な手段で製造コストを削減していると示唆される。道楽者だが隠居し腐っても先代の舌は確かだ。妾の家の方が儲かっている。やはり成瀬作品の男はどいつも甲斐性がない。優しくても無力だったり、裕福でも冷酷だったりする。ラスト10分は怒涛の展開。姉妹の軋轢、母娘の断絶からのまさかの社会的制裁。なす術なし。この無責任な放埓に絶望。祖父の無責任な発言。お隣の理髪店での乾いた皮肉に凍えて終。邦江の救われなさに涙。
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