nagaoKAshunPEi

天井桟敷の人々のnagaoKAshunPEiのレビュー・感想・評価

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)
3.5
ナチスドイツの占領下となったフランスで、全長400mに及ぶオープンセットに1500人の人間が集まり、往来を行き来するオープニングに度肝を抜かれる。
戦時下を感じさせない群衆の豊かさと運命に翻弄される芸者たちの一大メロドラマに、難局を生きる今だからこそ勇気づけられる。
だが物語の結末に相入れない思いがあると一気に引いてしまう。惹かれあっていた2人の人間が一度は袂を分かちそれぞれに新たな幸せを探すのはいい。しかし、新たな幸せを手に入れながらも、元鞘に戻ろうとする行為がどうしても受け入れられず、愛と愛の間に存在する2番目の相手が不憫に思えてしまうのだ。
それぞれが新たな幸せを見つけて、あり得たかもしれない明日を夢想するも、過去に決別し今を歩きはじめる『ラ・ラ・ランド』の至高のラストを思い出す。悲恋の形も時代を超えて変わってきたのだろう。
nagaoKAshunPEi

nagaoKAshunPEi