今作は2014年に日本公開された作品で、その当時口コミで話題が広がり、東京のあちこちのミニシアターで上映されていた記憶があります。
その人気は今でも根強く、ここ最近でも東山紀之主演で舞台化されました。
公開から時間が経った今でもメディアミックスがされ、たくさんの人々の心を打つ今作は、ゲイの男性が育児放棄された障がい児を育てたという実話から着想を得て脚色された物語です。
物語は、助けを必要とする人間に手を差し述べようとした人たちの背中を、社会が押さなかったが故に悲劇的な結末を迎えます。
見えているのに見ようとしなかった。
差別や偏見によって、あるいは優先順位をつけられて、社会からつまはじきにされた人々は、今私たちが置かれているこの未曾有の状況においても少ないと思います。
映画は、その時々を映す鏡です。
それと同時に、そこから発せられるメッセージは、映画を観た時代や社会状況に呼応し姿形を変えて訴えかけてくるようにも感じます。
すべての人に手を差し伸べられるような社会であってほしいと願わずにはいられなくなるラストシーンは、誰もが余裕のないこの時期だからこそ切実に響いてくるのではないでしょうか。