NHK-BSPプレミアムシネマ録画鑑賞
4K修復版
”パリは狭い。特に愛する者たちにはね“
マルセル・カルネ監督が19世紀のパリに生きる人々をドラマティックに描くフランス映画史上の古典的傑作。
最新技術で映像と音声を修復した4K修復版で鑑賞。
受賞歴
1946年 - ヴェネツィア国際映画祭特別賞
その他受賞・評価は忘備録へ。
原題 『Les enfants du Paradis』
「天国(=天井桟敷)の子供たち」
1945年仏作品モノクロ(4K修復版)
195分
監督 マルセル・カルネ
脚本 ジャック・プレヴェール
製作 フレッド・オラン
音楽 モーリス・ティリエ ジョゼフ・コズマ
撮影 ロジェ・ユベール マルク・フォサール
出演者 アルレッティ ジャン=ルイ・バロー ピエール・ブラッスール マルセル・エラン マリア・カザレス ルイ・サルー
日本語字幕 橋本克己
(NHK番組内容より)
舞台は1820年代のパリ。
パリに生きるさまざまな人間たちをドラマティックに描く映画史上の古典的傑作。劇場が立ち並ぶ“犯罪大通り”。
パントマイム役者のバチスト(バロー)は踊り子のガランス(アルレッティー)に恋をするが、無頼漢ラスネール(エラン)、や俳優ルメートル(ブラッスール)、モントレー伯爵(サルー)などさまざまな男がガランスに魅了されていた。一方、座長の娘ナタリー(ガザレス)はバシストに想いを寄せるが……。
第二次世界大戦中、ヴィシー政権下にあったフランスで製作され、監督はマルセル・カルネが務めた。製作期間に3年3か月を費やし、前後篇3時間半に及び製作費は16億円にのぼり、当時としては破格の規模で作られた大作映画となった。
1840年代、ルイ・フィリップ統治下のパリ繁華街を舞台に、とりどりの人々が織りなす人生の色模様をバルザック的な壮麗さで描いたカルネ、プレヴェールの代表作。
劇の中心をなすバチスト・ドビュローとフレデリック・ルメートルは共に実在の人物で、前者は本名シャルル、パントマイムのピエロ役の近代的創造者として知られている。
お話は、前編の、
第一幕『犯罪大通り』
(Le Boulevard du Crime)
こちらは、バチストとガランスの出会いから、他にもガランスに惹かれる男たちが花に群がるミツバチの様に惹きつけられる様が描かれる。
ガランスは、ひょっとして、
“ファム・ファタール” =運命の人
(仏: femme fatale)なのかも⁈
後編は、
第二幕『白い男』
(L'Homme Blanc)
前編から6年後。
バチストは、座長の娘ナタリー(マリア・カザレス)と結婚し息子シャルルと3人で幸せに暮らしていたが、富豪のモントレー伯爵と結婚したガランスがパリに戻ってきたことで運命の歯車が動き出す……
観終わって、、、
長かったが、最初、古臭い作品かな⁈
と思いながら見始めた。
時代設定はそうだが、4K修復版なので映像も綺麗で音声も聞き取りやすく観やすかった。
そして製作年代も第二次大戦中に撮影開始なので、そういったことも含め古さを感じず違和感無く観られた。
そして、次第に引き込まれるストーリー。
”犯罪大通り“とは、劇場が立ち並ぶ場所で、人々の日常の娯楽がこの観劇。
喜劇、悲劇、シェークスピアなどの古典、そして舞台となるパントマイム(無言劇)の劇中劇が多く登場し、主人公バチストのマイム芸に引き込まれていく。
この人、バチスト役ジャン=ルイ・バローのマイムが凄くイイ‼️
芸人の時は、白塗り無表情の顔が何故か美川憲一に見えてくる(笑)
最初、時計スリに間違えられたガランスを、無実を目撃したバチストがマイムで表現するところ良かった〜
これが縁となり、ガランスに惹かれていくんですネ〜
私は引き込まれて通しで観たが、
少し長いので、前後編を分けて観てもイイかも⁈
当時、フランス映画界が総力を結集して作り上げた名作でした‼️‼️
以下ネタバレあり
【印象のシーン】
・1820年代のパリ、犯罪大通の人々の熱気
・天井桟敷の人々の歓声や怒号。
日常の人々は活気にあふれている。
・劇中劇
・パントマイムの至芸
・個性的な脇役たち
古着商ジェリコ、下宿屋の女主人エルミール、フュナンビュール座座長、
・・消えていたと思っていた愛の火は、まるで炭火の様に長期間燻り続けていた。
・バチストの妻から投げかけられる言葉。外で待つ息子。家族を捨てガランスを追いかけるバチスト。
・町は祭りの只中、バチストは波に揉まれガランスに追いつけない…
【忘備録】ネタバレあり
(キャスト)
・ジャン・バチスト / ガスパール・ドビュロー Baptiste Deburau
演 - ジャン=ルイ・バロー
主人公。パントマイム芸人でガランスに思いを寄せる。
・ガランス Garance
演 - アルレッティ
落ち目の女芸人。バチストに誘われ、パントマイム劇団「フュナンビュール座」へ。
・フレデリック・ルメートル
Frederick Lemaitre
演 - ピエール・ブラッスール
女たらしの俳優。
パントマイム劇団「フュナンビュール座」に入団する。後に無言劇に耐えられなくなり他の劇団に移籍する。
・ピエール・フランソワ・ラスネール
Lacenaire
演 - マルセル・エラン
表では代筆業を営み、裏では強盗・殺人を繰り返す男。
・ナタリー Nathalie
演 - マリア・カザレス
パントマイム劇団「フュナンビュール座」の女優、座長の娘。
バチストを愛している。ガランスに嫉妬の感情を抱く。
・モントレー伯爵
Le Comte de Montray
演 - ルイ・サルー
パントマイム劇団「フュナンビュール座」の公演でガランスに心奪われる。
富豪で、社会的地位も高く、当時の社会状況からして警察を動かすことも出来る。
・古着商ジェリコ Jericho
演 - ピエール・ルノワール
主要登場人物たちを繋ぐ狂言回しの役回りを果たす狡猾な人物。
・盲人“絹糸” Blind Man
演 - ガストン・モド
古物などの目利き。普段は盲人を装っているが、本当は失明していない。
・アンセルム・ドビュロー
Anselme Deburau
演 - エチエンヌ-マルセル・ドゥクルー
パントマイム劇団「フュナンビュール座」の呼び込み人で俳優。バチストの父親。
・フュナンビュール座座長
演 - マルセル・ペレ
パントマイム劇団「フュナンビュール座」の座長。ナタリーの父親。
・フュナンビュール座舞台監督
Manager of the Funambules
演 - ピエール・パロー
・エルミーヌ夫人 Madame Harmine
演 - ジャンヌ・マルカン
バチストとルメートルの住む下宿屋の女主人。
・アヴリル Avril
演 - ファビアン・ロリス
ラスネールの子分。
・スカルピア・バリーニ
Scarpia Barigni
演 - アルベール・レミー
・バチストの息子シャルル・ドゥビュロー
Baptiste Jr.
演 - ジャン=ピエール・ベルモン
バチストとナタリーの間の子。
・Stage doorkeeper
演 - レオン・ラリブ
・First Dandy
演 - ジャック・カストロ
・Second Dandy
演 - ジャン・ゴールド
・Bank Messenger
演 - ガイ・ファヴィエール
・Inspector of Police
演 - ポール・フランクール
・First Theatregoer
演 - リュシエンヌ・ヴィジェー
・Second Theatregoer
演 - シネット・ケーロ
・Stage doorkeeper
演 - グスタフ・ハミルトン
・Director of the Grand Theatre
演 - ロニョ-ニ
・First Author
演 - オーギュスト・ボヴェリオ
・Second Author
演 - ポール・ドゥマンジュ
・Third Author
演 - ジーン・ダイナー
・Gendarme
演 - ルイ・フロランシー
・Marie
演 - マーセル・モンティール
・Celestin
演 - ロベール・デリー
・Ticket seller
演 - ルシアン・ウオルテ
・Iago
演 - ジャン・ラニエ
・Third Dandy
演 - ラファエル・パトルニ
・Turkish Bath Attendant
演 - アビーブ・ボングリア
受賞歴
1946年 - ヴェネツィア国際映画祭特別賞
1952年 - キネマ旬報ベストテン第3位
1979年 - セザール賞特別名誉賞
1979年 - フランス映画史上ベストワン
ランキング
「映画史上最高の作品ベストテン」(英国映画協会『Sight&Sound』誌発表)
2002年 - 「映画批評家が選ぶベストテン」第27位
2002年 - 「映画監督が選ぶベストテン」第31位
2012年 - 「映画批評家が選ぶベストテン」第73位
2008年 - 「史上最高の映画100本」(仏『カイエ・デュ・シネマ』誌発表)第9位
2010年 - 「エッセンシャル100」(トロント国際映画祭発表)第60位
以下は日本でのランキング
1980年
- 「外国映画史上ベストテン(キネマ旬報戦後復刊800号記念)」(キネ旬発表)第1位
1988年
- 「大アンケートによる洋画ベスト150」(文藝春秋発表)第1位
1989年
- 「外国映画史上ベストテン(キネ旬戦後復刊1000号記念)」(キネ旬発表)第3位
1995年
- 「オールタイムベストテン・世界映画編」(キネ旬発表)第5位
1999年
- 「映画人が選ぶオールタイムベスト100・日本映画編(キネ旬創刊80周年記念)」(キネ旬発表)第11位
2009年
- 「映画人が選ぶオールタイムベスト100・日本映画編(キネ旬創刊90周年記念)」(キネ旬発表)第10位