爆裂BOX

ドラキュリアンの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ドラキュリアン(1987年製作の映画)
4.6
神秘の力を秘めた秘石とヴァン・ヘルシングの日記を巡って田舎町にモンスターが集結。それを知った怪物同好会「モンスター・スクワッド」の少年たちが戦いに乗り出す…というストーリー。
「クリープス」のオタク監督フレッド・デッカーが贈る、怪物同好会の少年達と怪物たちとの戦いを描いたジュブナイル・ホラーコメディです。「クリープス」と共にこちらもBDになるとは思いませんでした。
主人公達「モンスター・スクワッド」の面々もリーダー格の主人公ショーン、ちょい変わり者で美人の姉がいるパトリック、太っちょホレス、最年少のユージン、新入りで一人だけ中坊の不良ルディ、ショーンの妹で一緒に行動するけど仲間に入れてもらえないフィービーなどジュブナイル物らしいキャラ立ちした面々で、彼らの行動見てるだけで楽しいですね。特に子供らしく無邪気でちょっとおませな所もあるフィービーが可愛かった。後、ユージンの連れてるビーグル犬も可愛かったですね。みんなで手を合わせる所で犬も一緒に手を乗せてる所とても和んだ(笑)
登場するモンスター達はドラキュラ伯爵に狼男、ミイラ男に半魚人にフランケンシュタインの怪物と往年のユニバーサル・モンスター大集合というのが楽しいですね。著作権が下りなかったから微妙にデザインは違いますが、スタン・ウィンストンがデザインに関わっているだけあって造形もしっかりしてます。目的の為なら手段選ばず、ダイナマイトで主人公達の秘密基地やパトカー吹っ飛ばすドラキュラ伯爵に、人間の時は善人な狼男、結構雑魚いミイラ男と半魚人などモンスター側もキャラ立ってます。特にフランケンシュタインの怪物は伯爵の命令で主人公達の元に向うけど、速攻で仲良くなるピュアで優しい怪物ぶりが魅力的でしたね。ドラキュラの剣族の三人の女吸血鬼が白いドレス着てたり、フランケンシュタインの怪物とフィービーが出会うのが池のぞばだったり、不死の運命を背負った狼男の悲哀などをしっかり描いてる所はオタク監督デッカーの面目躍如といった感じですね。
ショーンの両親が警官である父親の忙しさで不仲になっている所等、大人は頼れず自分たちの力で何とかするしかない、という行動に説得力もたせる描写も良いですね。ドライブインシアターで上映されてる映画を家の屋根に上って双眼鏡で見てる所に父親が来て一緒に見るシーンはとてもエモい。
「恐怖のドイツ人」と呼ばれて怖がられてた老人とふとしたきっかけで交流を行い親しくなったり、前述のフランケンシュタインの怪物と妹を通じて主人公達が交流し仲間になったりと見た目や偏見に囚われず真に相手を理解することの大切さを伝えてくれる描写もさりげなく盛り込まれて素晴らしい。
軽快なBGMと共に戦いの為に武器作ったり集めたりするシーンはテンション上がりますね。
ピザのニンニクでドラキュラにダメージ与えたり、昔ながらの弱点を原題で子供達も戦えるように応用した戦い方も楽しい。
最後の広場での決戦も否応なく盛り上がりますね。挑みかかってくる警官たちを歩みを止める事無く次々倒していくドラキュラ伯爵はラスボスらしくてカッコイイ。銃弾効かないのに狼男や半魚人に警棒で挑みかかる勇敢過ぎる警官達にはちょっと笑っちゃいました。処女に呪文読んで貰わなくちゃいけないからパトリックのお姉さんに読んで貰うけど案の定な結果になる所は笑いました。どう見ても処女とは思えないだろ(笑)その後に選ばれるひとはそりゃ確実だろうけどと思いましたが(笑)
冒頭と終盤に出現する時空の穴は「死霊のはらわたⅡ」を彷彿しました。結構警官も吞み込まれてたけど絶対大丈夫じゃないよね(笑)特に全然触れられてなかったけど(笑)ここでのフランケンシュタインの怪物との別れは結構グッときました。
子供の時に初鑑賞して以来久しぶりの再鑑賞でしたが、テンポも良くてオタク監督らしくマニアックな所も入れながらも誰でも楽しめるジュブナイルホラーとして完成度の高い傑作ですね。