颯空

かいじゅうたちのいるところの颯空のレビュー・感想・評価

4.2
どこまでもピュアで、優しさに溢れた世界に、幸せと同時に悔しさが込み上げる。この映画のように、優しさだけが世界に溢れれば良いのに、戦争や組織での抗争などあらゆる場面で争いが蔓延る昨今だからこそ、こう感じざるを得なかった。
タイトルシーンからまず惹き込まれる。ブレブレの肖像の余白に手書きのような文字でタイトルが綴られたカットはこの作品の世界に入り込むには十分だった。
フィルム調で温かでありながら彩度に富んだ色味もグッドで、原作の絵本のファンタジックで親密さのある雰囲気を現実世界、かいじゅうの世界どちらもうまく表現してたと思う。
ストーリーはシンプル極まりなく、浮世離れしていた中で、主人公は何日間あの世界へいたとか、服の汚れを気にしない母親とか、細かなところはとにかく端折っていた潔さが、この作品において重点的に表現したいことを伝えているようで、その余計なもののない純粋さにも惹かれた。
そしてとにかく音楽が超良くて、素朴なアコースティックの感じと、森の楽団みたいな雰囲気がすごく素敵で好きだった。
あとで調べたらYeah Yeah YeahsのKaren Oと、Arcade Fireのメンバーが制作していることに驚き。そりゃ良いに決まっとる…
颯空

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