月うさぎ

Shall we ダンス?の月うさぎのレビュー・感想・評価

Shall we ダンス?(1996年製作の映画)
3.3
社交ダンスにハマった中年男性の姿がおかしくてちょっとほろ苦い。
淡い恋慕の心も描いて青春よ再び、みたいな味わいもあり、まあ、大人の映画です。

周防監督の代表作になった作品で、リチャード・ギア主演でハリウッドでリメイクもされた評価の高い映画です。

まず題材の(またも)ニッチなこと。
そして、今回も役者がいいですよね~。
役所広司演じる主人公の杉山さんは、愛する妻も娘もマイホームもあって順調なサラリーマン人生を送っているのに、いや、だからこそ日々の暮らしに倦むようになっていた。
そんな時にであった、ときめき。

真面目で不器用で誠実で、でもロマンを捨てきれない男を繊細に演じてくれています。
見ていてこちらがじれったくなるくらいに。

前作「シコふんじゃった」の出演者、竹中直人、柄本明、田口浩正などが再登場。
ラテンな竹中直人…気持ち悪さ倍増です。


【ストーリー】
通勤電車のホームから社交ダンス教室の窓の中の美女に魅せられダンス教室の扉をたたく杉山。
恥ずかしさから妻にも内緒。次第にダンスの楽しさに目覚めていくが、その挙動不審ぶりに妻は夫の浮気を疑い始める。


昔、この映画を見たときには、おじさん、おばさんのお話しに思えたものです。
とても面白いコメディ映画だと思ったけれど、今、同年代といえる年齢になってみてみると、単純に面白いって言えなくなっている自分がいます。

「ずるい自分ばっかり」「相手がダンスでも浮気だと思った」
その言葉はとてもよくわかります。特に女の人ってそうだと思う。
以前観た時は奥さんが可哀想って思っていました。
理性で言い聞かせても感情が割り切れない。あるあるですよね。
こういう妻が寂しがるシーンが、とても甘くて、きっとこういう妻なら可愛いんだろうな~。男からしたら。
でも私とあまりに遠くて…
この年齢になったらこういうのって鬱陶しくない?
愛し合うことと依存することは違うんじゃない?
いい大人なんだから、精神的に自律していないといけないんじゃないのかな?
お互い家族として信頼して成り立っていれば、別々に好きなことやってたって、その人が生き生きしてればその方がいいじゃない。

まあ、そんなことは考えずにロマンティックに楽しんでください。
映画初出演のバレリーナ、草刈民代さんが上品でクールです。
そういえばこの映画が縁で民代さん周防監督と結婚されたんですよね。
監督さんも若かったってことですよね。
月うさぎ

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