「明るく楽しい1963年のモスクワのちょっとした青春の出会いと別れ。観光と散歩感が絶妙」
ソビエト映画は、暗い、重い、長いと言うイメージだが、こんなに明るく楽しい一日を、描いた青春映画もあるのかと感心した。
3人の若者の出会いと恋、結婚のドタバタ、そして別れの一日かユーモアを交えて軽快に描かれる。
モスクワの地下鉄建設に従事する労働者の主人公と地方から来た同年代の若者の友情とモスクワ娘の恋を絡めて軽快なテンポで進行してゆくが、初夏の散歩の様な心地良さと、風光明媚な街並みが素晴らしくて、同時のソ連が理想郷に見える。
西側とは違う、デザインの公衆電話や商店の品物まで目線を送ってしまい、その手のディテール好きも楽しめる。
一日だけの出会いと別れとラストに主人公の青年が、深夜の地下鉄の駅を軽妙に唄いながら去って行くミュージカル調なところなど、素晴らしい多幸感と、青春の終わりも感じる終幕まで魅せてくれる逸品。
1963年当時のモスクワ風景も新鮮で、観光映画の趣きもあり、また見たいと思わせる魅力がある。
上映されたプリントはかなり傷んでおり、何処かでニュープリント化をして欲しい。
個人的にはデジタルでのカラー化もありだと思う。
多くの人に観て欲しい青春映画の傑作。