あおや

チェンジリングのあおやのレビュー・感想・評価

チェンジリング(2008年製作の映画)
3.9
ロサンゼルスで暮らすシングルマザーのコリンズとその9才の息子ウォルター。ある日コリンズが仕事から帰ると、ウォルターは姿を消し失踪していた。五ヶ月後警察からの連絡で子供の無事が伝えられ嬉し涙を流すコリンズ。しかし、警察に連れられてきた子供は息子ウォルターと名乗る別人であった。1920年代後半に実際に起こった連続誘拐殺人事件『ゴードン・ノースコット事件』を基に巨匠イーストウッドがメガホンを取った重厚なノンフィクション作品。

これがフィクションでないことに虫酸が走ると同時にとんでもない絶望感に包まれた。都合の悪い存在に対して精神異常のレッテルを貼り、施設に監禁する。この時代のロサンゼルス市警がここまで腐敗しきっていたことには驚きを隠せない。権力の暴走とは本当に恐ろしいものだ。このあまりにも異常な権力の暴走と非道な誘拐殺人事件が重なったことで、このような惨劇が事実として起こってしまったと思うと胸が苦しくなる。

「失うものはないわ。もう何も。」

そう言い放ったコリンズを見て、子を愛する母の強さを痛感したと共に、それを演じきったアンジェリーナ・ジョリーの目付き、台詞、演技全てが強烈に印象に残っている。
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