わたP

天然コケッコーのわたPのレビュー・感想・評価

天然コケッコー(2007年製作の映画)
4.0
山下敦弘がこういうのも撮るんだということで過大評価になっているかもしれないけれど、想像以上に傑作だった。

僕はこの映画の住人たちがバスや電車でちょっと出て行く高校やスーパーのある街。ぐらいのところに住んでいて、物語の舞台となったような過疎地を比較的身近に感じていたけれど、瑞々しい自然の描写やそこに住む住人の距離感など時折涙が出そうになるくらいの描き方がされていた。
岡田将生の演じている東京から来た転校生のどこか冷めた感じを貫いていたのもとても好感度が持てた。あれを妙に美化して、田舎にくればこんなに心豊かになりますよなどと説教臭い話になっていれば腹が立つばかりであると思う。もちろんストーリー上彼の変化を描かなくてはならないのだけれど、大仰になりすぎずに、彼の根幹がぶれない程度で収まっている。

ある種のムーブメントになっている、田舎は善、都会は悪、みたいな構造を持ちつつも、田舎特有の狭い世間のいやらしさが滲み出ている場面(特に大沢母の関連)があって、一方向だけのストーリーになっていない
そのいやらしさを全編に描いているのは松ヶ根乱射事件であると思うので、そういう意味では対のような関係になっている作品であるとも言える。と、言い切るのは自信がないので、そんな感じかなあと思いました!!!!


追記:あと描写の仕方として、引きの映像が多いことと、新しい人物が登場しても(佐藤浩市や夏川結衣であっても)顔のアップがどーーん みたいなことがなく、ナチュラルな印象を受ける。
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