白黒でドキュメンタリーのような映画。
1945年8月14日正午の降伏決定から玉音放送の流れた8月15日正午までの24時間のお話。
降伏をめぐる終戦手続きの駆け引きと、一部将校が決起し皇居を占拠した「宮城事件」をメインに、戦争が終わる様子を描いている。
最も印象的なのは真夏の暑さ、とにかく暑苦しそうで汗臭さまでが伝わってくるような感じ。
服にはじっとりと汗がにじみ、当時のギリギリ感がとてもよく感じられる。
横浜警備隊の大尉を演じた天本英世が凄すぎて本当に驚いてしまった!
この方の場面だけは何か違う映画を見ているかのようなホラー感があり、やりすぎてギャグにもなってしまいそうな歯のボロボロ感とかしゃべり方とか声とかとにかく凄かった!
黒澤年雄が終始目玉をぎょろぎょろさせているのは鬼気迫るといえばいいのか、やや演技がワンパターンな感じもしたが、逆にそれが哀しいまでの真っすぐさを表現していて、現在基準でみれば理解できそうにない気持ちを理解させることに成功している気がした。
高橋悦史演じる井田正孝の行動がやや不自然に感じたが、結局生存者の証言頼みになってしまうことを考えればわからない事もあるのだと思う。
当時の上層部、将校達の苦悩や精神を知ることのできる素晴らしい作品。