真田ピロシキ

日本のいちばん長い日の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
3.4
本当日本軍って最低最悪のクソ軍隊。

沖縄は陥落し日本中を空襲に見舞われて原爆を二発落とされソ連にまで侵攻されてもなお本土決戦を主張できる脳の腐った軍部どもに吐き気がする。コイツらの主張ってのが300万人も死なせて本格的な戦もせずまま(これまでは補給戦らしい)無条件降伏しては散って行った英霊に申し訳が立たないというもの。実際にそんなことを言ったかは知らないが、最近でもある大金と時間をかけたんだから失敗だと分かっても引くに引けなくなる事例を考えると日本人の性質としてあり得たんだろうなと思う。必要なのは英霊より英断だよ。

天皇に諫められるまで徹底抗戦を主張していた阿南陸軍大臣はその評価に諸説あるようだが自分は美化されすぎなように見えて好ましく思えなかった。考えを変えたと言ってもそれは所詮天皇の言葉があったからだけで、腹の底ではあと何万人死のうが構わなかったし寧ろ望むところだったのでしょう?こういう人間を格好良く描いてしまうのは気持ちが悪い。これが戦後20年かそこらで出てきたのだから当時描き方を巡って賛否両論になったというのも分かる。

もっともこれはかなりマシな方でクーデターを起こした将校達の見苦しさは醜いの一言。上官は殺し民間人は恫喝し絶対であるはずの天皇の言葉は「重臣が唆したものだ」とテメーに都合の良い解釈をするという大変ご立派な皇軍(笑)っぷり。国民の見てなさにおいては徹底されてて、国体とか大きなカッコいい事ばかり喚いてるてる割に軍人以外にばかり威張り散らすみっともない姿を迫真の演技で暑苦しく晒す様は大いに批判的に見えて、人間的にはともかく描写は阿南よりずっと好ましく感じられた。

基本的に会話シーン中心の硬い映画であるけれど時々首が飛んだり血が飛び散ったりしてて驚かされる。映画に不釣り合いな扇情的なシーンと思ったが、死を誤魔化したくないという意図なのだろか。ともあれ力作なのは確か。