Foufou

幸福(しあわせ)のFoufouのレビュー・感想・評価

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
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アニエス・ヴァルダを見るのは初めて。もっと早くに見ておくんだったと率直に思います。いかにもヌーヴェル・ヴァーグではあるけれど、斬新さよりはきめ細やかさ、知性よりは感性にウエイトがあって、私の好み。端的にいえばオシャレです。最後の秋の森へのピクニックのシーンは、つい真似したくなる一家のコーデでした。

恐怖を論ずる本を読んでいたら、この作品が言及されておりました。また別の本で、こちらはエッセイですが、やはりこの作品が怖いと紹介されていた。そんな矢先にレコメンドで上がってくるのだから、天佑神助とばかりに見た次第。

果たして、幸福を描きながら、たしかに恐怖を語っていますね。一周回って知的な作品、というべきか。こんなこと、女も怖いが、男だって怖い。何が怖いって、自分が交換可能な存在だとまざまざと見せつけられることでしょうか。おまえは不要と言われるより、これはタチが悪いかも知れない。

いまこのささやかな関係においてはね、少なくとも自分は交換可能ではないよね、と絶望的な賭けに挑んで人は細々と生を繋いでいるのかも知れないのである。

そしてまた、なんとも美しい映画。
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