みかんぼうや

ダイナマイトどんどんのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)
2.9
仁義なき“野球”の戦い。大好きな岡本喜八監督の中でも屈指の人気作ということで、満を持して鑑賞した本作!でしたが、喜八監督作品でここまで面白さが分からない作品があるのか、と自分でもビックリするくらい、全くハマりませんでした。

内容は、冒頭に書いた通り、仁義なき戦いの野球バージョン?とでも言うべき、ある2組のヤクザの抗争を野球でケリをつける、というもの。“仁義なき”と書いたのは、主演の菅原文太を筆頭に、仁義シリーズの常連たちが主要キャストを務めているから。

しかし、設定の“ヤクザが野球”から自分には全然合いませんでした。「仁義なき戦い」を筆頭にヤクザ映画は好きだけど、やはり自分にとってヤクザ映画の魅力は、仁義と裏切りが交錯するヒリヒリした緊張感の中での殺るか殺られるかの血みどろの戦い。1つ前に書いた「孤狼の血」などもまさにそこにゾクゾクする。
そこが、野球での決着になってしまって、全体のトーンもだいぶコミカルだったこともあり最初から違和感強めでしたが、話や登場人物に没入できなかったせいか、ラストも勢いだけでゴチャゴチャしたように見え全然好きになれず。

設定自体が好みではないかな?という疑問は最初からあったものの、評判の高さと岡本喜八作品ならきっと自分好みの独特な演出や色々な展開があるのだろう、と期待していただけに、思った以上の演出や話の進展もなく、この内容で150分強はさすがに長すぎると感じました。

やはり岡本喜八監督は、コメディやユーモア全開、というよりは、ほどほどにシリアスな内容やメッセージ性がある中に、ブラックユーモアが挟まれている「肉弾」や「血と砂」のような作品のほうが好きだな。本作や「ジャズ大名」は、コミカルさのほうが前面に出てきてしまっている印象で、このタイプの喜八作品は合わないのかもしれない、と思ってしまった作品でした。
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