公開年は1954年で戦後10年も経っていない時期の映画と考えればCG技術もなかったので当時としてのクオリティは高いだろう。
演技については志村喬以外は棒読みの大根ばかりという残念さや途中でゴジラを軸とした微妙な三角関係の場面へ唐突に切り替わるあたりに構成の弱さは目立つが、特撮技術には印象が残る絵面があった。
特撮といえば円谷と連想されるかもしれないが、この監督は本多猪四郎である。前者に比べれば無名かもしれないが職人肌のアルチザンゆえの安定した撮り方である。
日本は唯一の被爆国であり、核の問題を今以上にセンシティブにとらえゴジラの対策についてはヒューマニズムの観点からだけではない事を本多は訴え、私たちに疑問を投げかけている。
最近公開された怪獣の後始末映画に騒動があったが、お口直しの映画としてこの元祖聖典をお薦めします。
