叡福寺清子

十七人の忍者の叡福寺清子のレビュー・感想・評価

十七人の忍者(1963年製作の映画)
3.7
本物の忍者映画がここにありました.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
GIジョーに出るような忍者じゃないし,もちろんニンニンジャーやハリケンジャーとも違う,乱破とか草の者という別名がふさわしい忍者を描いたのが本作.
二代将軍秀忠の寿命が尽きようとする寛永八年.三代将軍の座を狙い謀反を企てるは,家光の実弟忠長.その計画を知った老中阿部豊後守忠秋は伊賀忍者三之組組頭甚伍左に証拠となる連判状を奪うように命じるのだった.伊賀忍者三之組総勢十七名は命を賭して,その命を完遂しようとしますが・・・

連判状を守る駿府侍を揺動するためだけに4名を犠牲にします.さらに駿府側の指南役である根来忍者才賀孫九郎の才覚によって,三之組の策略は次々と暴かれてしまい,ついには甚伍左も捉えられてしまいます.捕縛された際足を砕かれますが,それでも任務の完遂に徹する甚伍左の姿は忍者そのもの.異常なかっこよさで,CoolJapanはこーゆーのでいいんだよと,深く深く感じる次第.さすがに妹の梢殿が捉えられたときには動揺を見せますが,その梢殿もまさに忍者(ハニトラ満開のくノ一とは違います).拷問されても.仲間を売るようなことはいたしません.なにこのハードボイルド.

終盤の鬼門櫓攻略シーンは,波音立てずに泳ぐ泳法からその後の塩蔵での潜伏まで,何から何までカッコよすぎて,オヂサン嘆息するしかなかったですわ(でもちょっと浪花節が見えたのは残念だったですぞい).

敵である才賀孫九郎はものすごい腕の立つ忍びなんだけど,所詮忍びと侍達からは軽く扱われ,進言した作戦は尽く却下される姿は,子連れ狼で何度か目にした気がいたします.

派手な活劇ではありませんが,今の邦画が失った凛とした佇まい(まぁそう批判できるほどに邦画観てないんですけどね)が貫かれている本作.63年作と侮るなかれ!でございました.