くぅー

おのぼり物語のくぅーのレビュー・感想・評価

おのぼり物語(2010年製作の映画)
3.5
とある一誌での連載が決まり、一念発起して大阪から上京した29歳の漫画家・・・収入は寂しいゆえに、郊外のボロい格安アパートを見つけ、奇妙な隣人達に、一足先に上京していたいい感じの先輩女性らとの交流もあり、何とか生活も軌道に乗った。
が、やがて連載誌の休刊が決定して無職となり、アパートも取り壊しによる立ち退き通告が来て、先輩女性との関係もギクシャクし出し、歯車が狂い始め・・・さらには実家からは、父親が余命僅かの癌だとの連絡が入る...

そんな本作は、カラスヤサトシなる漫画家の同名4コマ作品の実写版らしく、もちろんオリジナルは未見。

で、いかにもおのぼり的なユルいテンポが売りながら、前半は蟹やロシア人なんかの独特なネタを挟み込む、コミカルに見せつつ・・・とんでもない方向へ転がすのかと思いきや、後半はおのぼり応援賛歌へと切り替わる。

そう、終わってみれば、特にサプライズは無く、都会にフィットしてる方には地味って言葉で簡単に片付けられるだろうが・・・なかなかの実力派のキャストと、味のあるキャラとエピソードは巧みに仕込んではあるなぁって印象。

まぁ、自分も4年間のおのぼり経験はあり、あの毎朝の満員電車での通勤は無理だろうと、就職は諦めた田舎者ですが・・・とにかくひたすらに頑張れとか大丈夫とか言い続けてくれる人と出会ってたら、考え方も変わってたかもしれないけど。

なお、俳優陣では、まずは井上芳雄・・・個人的に初見でしたが、ひたすらに普通っぽい熱演が印象的。
助演陣で一番オイシかったのは八嶋智人・・・ツボを得た適当な演技は絶妙。
さらには、ヒロインの肘井美佳を筆頭に、占部房子に江口のりこにキムラ緑子に、水橋研二に徳井優らの芸達者の面々のサポートがナイスで・・・哀川翔も友情出演する、なかなかの豪華さにニヤリ。
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