アギゴン

ぐるりのこと。のアギゴンのネタバレレビュー・内容・結末

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

法廷画家の夫(リリーフランキー)カナオと、なんでも決めたがりで、しっかり者の妻(木村多江)翔子。この夫婦の10年間の道のりを描いた作品です。

フィルマ冬眠前に記録しておきたかった、ずっと気になっていた作品でした。
これは観てよかった。多分若い頃に観てたらここまで響かない作品だったかもしれない。


(ネタ漏れ多めなあらすじと感想)

二人の宙ぶらりんな関係性が、ある事によって、ぐっと近くなり少しづつ夫婦としての絆を深めていく感じが、じっくりと描かれていました。

ちょっとネタバレです。
ある事と言うのは、二人の間に出来た子供が生まれて直ぐに(この辺ははっきりとは描かれていない)亡くなってしまい、しっかり者だった妻は、仕事も続けられなくなるほど落ち込み、ついには鬱状態になってしまう。そんな妻をやんわりと包むようにそっと傍に寄り添う夫。しかし優しくしてもらえれば貰うほど、辛くなる妻。
幾度もあの時の悲しみが押し寄せ妻はどんどんと精神をすり減らしてしまう。どうしようもない気持ちが爆発し泣き叫びながら夫に当たり散らしてしまう。

既にあらすじから外れて来ましたが、私が特に胸にジーンと来たシーンはこの時の次のセリフからです。
「どうして私と一緒にいるの!!」と妻が泣きながら夫に問うと、
リリーは…いや…夫は「好きだから」…と、さりげなく、そして包み込む様な優しい声で答えるシーンです。堪らなかった。なんだか泣けて来ました。上手く伝わらないと思うけど、なんだか泣けてきました。(映画を観ないと伝わらないかもしれません💦)

また戻ります。
やがて夫や周りの人達から支えられながら、少しづつ元気を取り戻していく翔子。
知り合いのお坊さんからお寺の天井画を描いてみないかと勧められ、四季折々の花々を描いていく様子がとても穏やかで、翔子の心は少しづつ癒されていく。

…このシーンほんとに良い〜私の方も心が穏やかになりました。
完成した天井画を畳に寝転びながら夫婦で見ているシーンも良かった。描かれた一つ一つの絵がまるで夫婦の刻んだ年月を感じさせるようでした。
このふたりの話だけではなく、翔子の母親と父親との関係性も描かれていて、深く多くは語らなくとも、この作品は「夫婦の在り方」にスポットをあてたものなのかなぁと感じました。

もうひとつの見どころは
法廷画家である夫が、様々な事件の裁判に出向き、スケッチをするシーンでは、過去に起きた凶悪な事件(有名な事件)をモチーフに描かれているので、そこも面白みを感じました。
(見終わっての感想)
山あり谷ありの夫婦二人三脚の人生。時には背中向け、時には同じ方向を見て、、、また違う方を見て、最後はどちらかか消える日まで、ゆらゆらと生きて行けたらいいなぁなんて思ったりもして。

リリーフランキーの飾り気のない、演技が良かったな。
久々おでんくんハイの画を思い出しました😊
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