アギゴン

PERFECT DAYSのアギゴンのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーを記憶するために、自分用に記録として載せてるので、モロバレ注意です⚠️






ある一人の公衆トイレ清掃員の男の話しなんだけど、見入ってしまった。
男はテラスハウスみたいな造りのボロアパートに一人暮らし。風呂もテレビも無い部屋で、朝、鉢に植えた植物に霧吹きで水をやり、顔を洗い、歯を磨き、髭を剃って仕事着に着替え、外の自販機で「BOSS」缶を買って、車に乗りこみ、古いカセットテープの音楽を選んで、仕事現場に向かう。
公衆トイレの清掃員として、黙々と丁寧にトイレの清掃を行い、終われば次の現場へと車を走らせる。トイレ清掃をしている男を誰も気に止める人もいない。使用する者が来れば、掃除の手を止めて、外に出て待つ。外気の風が心地よく、上を見上げると木漏れ日が揺れている。その揺れる光と影を見つめ、つかの間の休息を楽しむ。そしてまた掃除を続け、終わればまた、次の現場へ…そうして一日が暮れて、いつもの時間に、銭湯へ行き、雑踏の中馴染みの店で軽く飲んで、軽く食べて帰ってから眠るまで古本を読み眠りにつく…
この日々の繰り返しが、一見退屈になりそうなものの、これが不思議とならずに、見入ってしまった。
ほとんど会話もしない男役を役所広司が演じていて、何も説明など無くとも、哀愁が漂うその風貌から男の生き様を感じ取れる。
孤独に生きているようで、それでも、何かと繋がっている。そして小さなものに目を向けそれを楽しむユーモラスな一面も持った男の私生活をスクリーン越しに覗いているようにも思えた。この人物に多分魅力を感じていたんだろう😌
淡々とすぎる中、ある日妹の娘が訪ねてきて、束の間の時を過ごし、妹の元へ姪を返すシーンには泣けた。男と妹が抱きしめ合うシーンで、これまで男が過ごした辛かった日々が思い起こされて、なんだかジーンときてしまった。なんの説明も無いけど、少ないセリフから想像がつく。

すれ違っても無言で通り過ぎてしまうような一人の掃除夫の人生の終盤を垣間見た作品だった。
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