よねっきー

アニーのよねっきーのレビュー・感想・評価

アニー(1982年製作の映画)
4.4
良いシーンがすこぶる良いだけに、ところどころ変なアレンジが気になるな。プロすぎる……と感心する部分と、素人だな……と感じる部分がある。ウーム。

"It's the Hard-Knock Life"、"I Think I'm Gonna Like It Here"の二曲に関しては鬼気迫る完成度の撮影・編集。奥行きのある構図と立体的なアクロバットがエキサイティング! 目まぐるしいカメラワークと派手な視覚効果がめちゃくちゃカッコいい。弾け飛ぶ水飛沫に羽毛にダンサーたち。コミカルで色気たっぷりな"Easy Street"もなかなか良い。

しかし一番有名なはずの"Tomorrow"の流し方が雑すぎる……。原作舞台と流れるタイミングもまるで違うし、あの、どういうつもり? どうしてもあそこで流したいなら、リプリーズにしてしまえばよかったのに! もうひとつ、"N.Y.C"が採用されてないのは何なんだ!? 代わりの新曲たちも悪くないけど、やっぱり原作の名曲たちを楽しみにしてるんだよこっちは! せっかく名曲が多いミュージカルなだけに残念。

クライマックスも、舞台ではできない映画的なスペクタクルをやろうとして失敗してるように感じてしまった。サスペンスの撮り方だけなんでこんなに下手に感じるんだろうか……。長回しを活かした魔術的なショットが多いのに反して、編集がところどころ拙く感じた。

底抜けに明るく振る舞う少女が、内奥に抱える「暗い希望」。それが『アニー』という物語の本質だとおれは思う。周りの孤児とは違って、自分には優しい両親がどこかで生きて待っている、たぶん(Maybe)、という微かな希望だ。その明暗のコントラストを描くのに若干失敗してしまってるように感じるな。そのために序盤の"Tomorrow"があるんだし。良いシーンが良すぎるだけに悔しい! 全部この完成度でしっかりやってよ!
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