Mikiyoshi1986

アウトサイダーのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

アウトサイダー(1983年製作の映画)
3.7
4月7日は巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督の79歳のお誕生日です。
おめでとうございます!

コッポラがすべてのアウトサイダー(はぐれ者)たちに捧げる青春群像劇『The Outsiders』

下町不良グループ「グリース」の抗争劇を主人公ポニーボーイの目線から描いた本作は、
鬱屈した若者たちの普遍的な心理を巧みに描写します。

10代ながらにして労働者階級の将来を運命づけられた彼らは、象徴的に"ブルーカラー"のデニムを身につける貧困層のヤングアダルトたち。

一方で反目する不良グループ「ソッシュ」はチカチカの高級車を乗り回す富裕層で上流階級の町を拠点とし、白いチノパンで一際"ホワイトカラー"を強調します。

劇中では『風と共に去りぬ』の引用が出てきますが、
壮観な夕焼け空を背景に佇む人物はまさにその熱烈なオマージュ。

更にコッポラが尊敬して止まない黒澤明へのリスペクトも端々に盛り込まれており、
まず音楽は黒澤映画を意識したであろうスコアを親父のカーマイン・コッポラが手掛け、
どしゃ降りの中の乱闘シーンにも『七人の侍』への敬意が見られます。

また建物が燃え盛る炎に包まれるシーンは『風と共に去りぬ』と『七人の侍』、その両方からのインスピレーションをうかがわせたり。

マット・ディロンのキャラは主役級にかっこよく、この出会いがコッポラの次なる姉妹的作品『ランブルフィッシュ』にも繋がるわけですが、
ヒロインのダイアン・レインもこれまた勝ち気な美しさで我々を魅了してくれます。

かつて同じ黒澤信者の盟友だったスコセッシやルーカスはそれぞれ『ミーン・ストリート』『アメリカン・グラフィティ』の青春群像劇で成功を掴んだわけですが、
逆にそんなのをすっ飛ばして『ゴッド・ファーザー』『地獄の黙示録』で成功を手にしたコッポラ。

しかし次回作『ワン・フロム・ザ・ハート』が大コケして破産にまで追い込まれ、
初心に返ったコッポラはこの行き場のない若き青春エネルギーに思いの丈をぶつけ、再び新しいスタートを切るに至ったでした。
Mikiyoshi1986

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