Mikiyoshi1986

恋人たちのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

恋人たち(1958年製作の映画)
4.8
本日10月30日はフランス映画の中でも特に好きな監督の一人、ルイ・マルの生誕84周年目に当たります。

彼が「死刑台のエレベーター」にて華々しいデビューを飾った翌年、再びジャンヌ・モローを主演に迎えて製作された長編2作目。
ブラームス「弦楽六重奏曲第一番」の美しく優雅な旋律に乗せ、田舎暮らしに倦怠を覚える有閑マダム・ジャンヌの「恋愛」の一篇を描きます。

ジャンヌ・モローの七変化を目の保養にしつつ、モノクロームに映える彼女の美しさに惚れ惚れしつつ、「妻」として脱出願望を秘めた女の叙情性に魅了されまくること請け合いです。
本作を観ているとルイ・マルは本気でジャンヌに惚れていたことが画面を通して伝わってくるかと思います。(実際にこの頃付き合ってた)

ルイ・マルは若干26歳にしてあまりにも気鋭で洗練された演出を行い、端々でもまったく抜かりのないシークエンスに圧倒させられる。
「鏡」の演出だったり、「手」の演出だったり、細やかな機微の然り気無い配置が飛び抜けて秀でています。

永遠にも思える夜の逢瀬は時の流れを無効化して二人の甘美な瞬間を巧みに捉えており、純白に浮かぶ彼女のネグリジェは物凄く印象的。
濃厚なラブシーンの撮り方も大変丁寧で、裸にパールネックレスの組み合わせは悶絶するほどエロい。ジュエリープレイめっちゃ好き。

不安が入り交じりながらのラストシーンには、純潔と自由の象徴でもある白馬が道脇に配置されており、彼女の決意と精神的解放を見事に表した逃避行として我々に一抹の不安と一抹の希望を抱かせながら幕は下りてゆくのです。
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