キャッスルグレンギャリ

鬼畜のキャッスルグレンギャリのレビュー・感想・評価

鬼畜(1978年製作の映画)
4.5
U-Nextで鑑賞。初見は40年くらい前高校生化大学生の頃名画座で。お目当ての作品より併映の本作の方が面白かったということを記憶しています。
以来私に取って本作は、岩下志麻と小川真由美の2大女優が演技の上で激しいバトルを繰り広る作品というものでした。後年観た「何ジェーン」のジョーン・クロフォードとベティ・デイビスのような。
しかし記憶はあてにならないものです。激しいバトルは冒頭の数分間だけ。
家族を持つ立場になって再見した本作はまるで違う作品でした。
物語とはわかっていながら(原作はあるらしい)、子どもたちが不憫で不憫で。辛くて通して見ることができませんでした。

庄二はもちろんですが、置き去りになった良子。その後本作ではまったく消息が描かれないのが、親の残酷さを高めています。ある意味その後の長男利一への仕打ち以上。
今回再見してみて本作で最高の演技をしたのは、二人の大女優でもなく、日本アカデミー賞を本作で獲った緒形拳でもなく、利一を演じた岩瀬浩視だと思います。父をかばっているのか、恨んでいるのかどちらとも取れる表情を見せるのはすごい。
彼は本作のみで引退したようで残念です。