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トリコロール/赤の愛のjonajonaのレビュー・感想・評価

トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)
5.0
主人公が今まで映画を観てきてあまり
見たことないほどの良い人。

トリコロール3部作の最終章である本作は『博愛』がテーマです。
締めくくりにふさわしい傑作だと思う。
今作のイレーヌジャコブさんも本当に可愛らしくて美しい。だれにでも愛を持って接する何気ない彼女の言動全てが癒しになる。基本的に厭世気味な僕はあの老男性と同じく彼女に『美しい光線』を感じる。

彼女は彼氏と遠距離中だが、どうも束縛が激しく常に浮気を疑ってくる嫌な奴。ある日犬を車で引いてしまったことから飼い主である孤独な老人と知り合う。彼は世の中に絶望し、近所の家を盗聴して引きこもっていた。
彼をたしなめる主人公だったが、老人の話から世界の汚さや不条理さを見せつけられることになる。彼女自身も彼氏の束縛や不貞を迫る同僚など苦難に立たされ、正しい道を見失うか否かの瀬戸際に立たされる。

立たされる、というか、そういう瞬間がこまめに訪れる。実生活の感覚に近いかもしれない。なにかが起こる時はふとして起こる。とっさの場での行動には日々の思考があらわになる。だからこそ彼女は凄い。
彼女は間違えない。悩み抜いて涙しても、人を愛する道を自然と選ぶ。
高潔というと大げさに聞こえるけどそういう美しさがある。
彼女の心の綺麗さにやられた老人は思い直して、交流するうちに再び希望を持って生きていくようになる。

監督の願いのようなものを感じた。
こういう人が世の中にいてほしい、こういう人が溢れる世の中であってほしいっていう。素晴らしい映画だった。
彼女自身が報われることを願ってます。

黒と赤の使い方が印象的だった。それによってより浮き彫りになる白の光も。にしても、語彙力のなさが書くごとに歯がゆい。
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