TAK44マグナム

GODZILLA ゴジラのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

GODZILLA ゴジラ(1998年製作の映画)
2.9
悪名高き、エメリッヒ版ゴジラですが、単なる金のかかったモンスター映画だと思って観れば、それほど悪くもないです。
ゴジラが出現するまで短いのでテンポも良いし、出現したらしたでニューヨークが破壊されまくって爽快だし、マシュー・ブロドリックやジャン・レノと子供ゴジラたちとの追っかけっこも楽しいし。

悪いのは、エメリッヒを監督にチョイスした製作陣なのです。
後年、公式に謝罪しているぐらい、プロデューサーもゴジラが何か理解していなかったわけで。
ゴジラというキャラクターが何故、世界中で愛されているのかを分かっちゃいなかった。
エメリッヒも、そもそも理解しようともせずに、いつものディザスター映画のように監督したんでしょう。
でなきゃ、あんなイグアナがでかくなっただけのゴジラが出来上がるわけがありません。
通常のミサイルで倒されるゴジラなんて、最強無比のゴジラであるわけが断じてない。
彼らが作ったのは、「原子怪獣あらわる」のリメイクであり、あのイグアナは、ゴジラではなくリドザウルスだったんですね。それなら、しっくりくると言うものです。

怪獣というものに対する認識が、日本とアメリカでは違っていました。最近は、「パシフィック・リム」やギャレス版「ゴジラ」をはじめ、日本的な怪獣が海外でも根付いてきたような気がしますが、基本的に洋画の怪獣は、現存する生物が何かしらの影響によって、ただデカくなったもので、生物である限りは当然、通常兵器が当たれば倒せるという認識の元に創造されています。
なので、ゴジラもその範疇からブレイクスルーすることなく、イグアナが巨大化した怪獣で、ミサイルが当たると死ぬので「足が超速い」という新設定が追加されたわけですね。
エメリッヒ監督たちにとって、いかにゴジラが「ただのキャラクターであり、ビジネスとして作られる映画のひとつでしかない」存在であったか。思い入れがないのでは、愛がある作品は生まれませんよ。
確かに、ローランド・エメリッヒは適任だと思われたでしょう。破壊のカタルシスを描くのが抜群に巧かったし。
しかし、ことゴジラに限って言えば、それは間違いであったわけです。

それにしても、あのゴジラの巨躯がビルに隠れられるわけないと思うのですが、隠れていたゴジラが出現するスペクタクル感等は、さすがはエメリッヒだ!と感心する場面もありますね。

後半は、子供ゴジラが主役の、劣化版「ジュラシック・パーク」みたいになってしまうのも残念。
終始、ゴジラとアメリカ軍の攻防を描いてほしかったです。


劇場、セル・ブルーレイにて