ユーライ

道のユーライのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
3.7
この「男女」の造形は、後年の多種多様なフィクションに影響を与えていると思う。聖なる白痴は欺瞞にしか映らないけど、これは単に天使化せず一歩は踏み込んでみせている。加虐性を持った男と被虐体質を持った女の愛憎劇という構図の石井隆っぽさ。最後にザンパノが星空を見上げてから嗚咽する流れは、『ヌードの夜』の竹中直人と同じ。泣く前に一動作ある。切実さというよりは後半まで牧歌的な雰囲気が前に出て来るが、人々の汚れ方とくたびれ方がきっちりリアリティを担保している。そこら辺の田舎を長回しで映している「だけ」のように見えるかも知れないが、このアメリカ映画っぽくない?ラフさは当時からするとなかなか新鮮だったんじゃないか……。
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