すきま

道のすきまのネタバレレビュー・内容・結末

(1954年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

タイトルが『大道芸人』だとか『ジェルソミーナ』でなく『道』なのが、深い。日本にも、昔は旅芸人など流浪の民がもっと巡り歩いていたんだよなぁ。
少し前見た『橋の上の娘』も思い出したけれど、あっちはナイフ投げを動じず受ける美女という能力がある為、娘が強気だった。
ザンパノのへのジェルソミーナの気持ちは、恋愛感情と同じなのかは分からない。ただ一言認めてほしかった、そしたらずっと付いていく理由にできた。物心ついた時からずっと、本当にずっとこの人の言いなりでいて大丈夫か、不安な気持ちの一生だったのだろう。
ザンパノがもし全ての悪事を為したままでかつ「おまえが必要だ」の一言を言っていたら、どうなったのだろう。やはりだめになった気がする。
たぶん誰も殺さないことが最低限許容できるラインだった。
ザンパノも彼に要らぬちょっかいをかける男も、同じように本人にもどうしようもなく荒れてしまう所がある。他の旅芸人達も、親しみがありながら同時に物凄くドライで。
似た人達と逢わないと、彼らの人生のことは本当には全く分かる筈もないのに、何故だか理解できる気がしてしまう。そこがやはり名作の手応えだ。
通りすがる家々の人の顔や、結婚式、羊飼いの道、寒々しい建物が、良い。音楽は哀しく、不必要な音がひとつも入っていない。
すきま

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