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ジャック・ドゥミの少年期のHacoのネタバレレビュー・内容・結末

ジャック・ドゥミの少年期(1991年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます


ヴァルダの眼差し、そのもの。

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 どう考えても、こんなもの撮れない。ドゥミのことが大好きな人にしか、撮れない。この映画を成り立たせる三つの要素を理解した時、涙が出た。
 ドゥミの監督した映画の映像、そのアイデアのとなる出来事を幼少期のドゥミが体験するフィクション、そして、死を目の前にしてもカメラに触れ続ける今のドゥミの姿。この三つで、この映画はできている。

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 この作品は、1990年にエイズでこの世を去ったジャック・ドゥミの映画愛に満ちた少年期を、妻のアニエス・ヴァルダが映画化したものです。
 フランス西部のナントで暮らす8歳の少年ジャコは、自動車修理工場を営む父と髪結いの母と幸せな毎日を過ごす。そんなジャコが映画づくりにのめり込んでいく日々を描く。

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 この人の少年の頃も、作った映画も、今のこの人も、残しておきたいという思いが、「ヴァルダの眼差しそのもの」でもあるなあと思って、ただただ感動してしまったのでした。
 (途中で、ズコーーンって違う文脈の映像が入ったりするの、最初は慣れなくてでも、すごいヴァルダ色だなあという感じで、好き。)
 こんなこと、ドゥミのことが大好きな人にしか、できない。もう、多くの言葉はいらないと思います。ありがとうヴァルダ。

 「わたしは残しておきたい。輝くばかりのジャックの少年期と夢見るようなあのまなざしを。」*
 
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* UPLINK吉祥寺ホームページ「ジャック・ドゥミの少年期【アニエス・ヴァルダ監督追悼特集上映】」https://joji.uplink.co.jp/movie/2019/2029 ,2019年10月9日アクセス。
(今年4月に行われた、「アニエス・ヴァルダ監督追悼特集上映」のホームページ。)
 
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