磯野マグロ

忘れられた子等の磯野マグロのレビュー・感想・評価

忘れられた子等(1949年製作の映画)
3.8
【信じて待つ】171

笠智衆の「ぼくはずいぶん待ったよ」が印象的。この後に見た「手をつなぐ子等」と比べて、舞台が戦後なので全体に明るい理想主義に満ちている。
先生が変われば生徒も変わる。世界や世間は変わらなくても、自分たちは進んでいく。特別学級の子の中にも、歌の上手い子、絵がめちゃくちゃ上手な子、ときどきはっとするような才能を見せる子もいるし、そうでもないやつももちろんいる。みんながどこか尊重されるように育ってほしい、もちろん口で言うほど易くはないんだけど、その心根はとても好ましい。時代的に、まだ「そのままでいいんだよ」という方向には行ってない。
子どもたちのあまりに汚い顔に呆れ果て、めちゃくちゃ乱暴に顔を洗ってやったあと、自分の手拭いを貸すのをためらって、みんなに顔の天日干しをさせてた堀雄二(みんな素直に、校舎に寄りかかってぼんやり顔を干してたのが、もののけ姫のこだまみたいでめちゃかわいい)。映画のラストのほうではさっと自分のハンカチを出して拭いてやってた。そんな細かいところに泣けてくる。
磯野マグロ

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