おじぇに

雑居家族のおじぇにのレビュー・感想・評価

雑居家族(1956年製作の映画)
3.8
お人好しな夫婦が、親を無くした子供たちを養子として育てる、一見道徳的な物語。

伊藤雄之助と左幸子が介入してこなければ、ちょっと泣かせつつ、ほのぼのとした美しいホームドラマなのですが、破壊力抜群な二人が作用しまくり、主役の一家を喰う喰う…

図々しくてやかましく、ちゃっかり者のトラブルメイカーをやらせたら右に出るものマジでいない左幸子の凄みよ…始めは心底不快な人物なのに、最後にかわいく思えてくるから不思議。

伊藤雄之助も轟小田夫妻の人の良さにつけこんで、お茶目にたかり続ける(しかもよく聞いたら親族とかじゃないのに)ダメな男を相当生き生きと演じていた。

世界広しと言えど小学生?の預金に手をつけて許されるのは伊藤雄之助だけ。

『二人が無邪気に災いを撒き散らす→一家が対応に追われる』という構図で全てが終了したような気がする…

末の男の子がすごいかわいい。
洞穴から飛び出して、お母さんに抱きつくから私の母性が爆発してしまった。

あと、薄幸タイプな役の新珠さんは左幸子との対比でいつにも増して有難みがありましたね。女性らしいシルエットのワンピースやブラウスにひっつめ髪が清楚。

これ、大変面白かったです。
轟夕起子が憤死することなく、エンディングを迎えられて私はホッとした。
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