らんらん

浪花の恋の物語のらんらんのレビュー・感想・評価

浪花の恋の物語(1959年製作の映画)
4.8
大阪を舞台に飛脚問屋の若旦那(中村錦之助)と廓の女郎(有馬稲子)が恋をする、想いが募り後戻りできなくなった2人に待ち受ける悲劇、近松門左衛門の原作を内田吐夢が映画化

以前見たときは中村錦之助を目的に見ていたけど、今回は有馬稲子特集でもあるのでそっちを注目して見てみました
上映後の有馬さんの舞台挨拶において自身で絶賛していたように素晴らしい作品でした!お世辞じゃなく心から拍手しちゃいました
中村錦之助のかっこよさ、有馬稲子の美しさ、その他の出演者も充実していてまた上手いんです、そして内容自体も良くって文句なく面白かった!

近松門左衛門原作って似たようなテーマの作品、例えば曽根崎心中や心中天網島の映画も見てきたけど、その中でも一番かと
たぶん見せかたが上手い、抑えていながらも抑えられないっていう微妙なとこをついてくる、その心の葛藤なり怒りなりの衝動を語らずも語ってるみたいな、特に片岡知恵蔵演じる近松門左衛門! ほとんど無表情ながら意味を持った無表情の効果をもたせてますよね
ラストの芝居の中だけでも救いをもたせた近松門左衛門の人情、心意気がまたいいなー
現実の2人の姿が芝居とシンクロするって演出もうまい、自然にそのままその世界を受け入れられる、あの2人の舞いのシーン、うっとりするくらいの美しさだった

シネマヴェーラ渋谷での有馬稲子特集最終日、今回見に行けたのは7作品、そのどれも印象残るものばかりで大満足! 他の作品も見たかったけど今後の課題にしときます

最後に印象に残った有馬さんの舞台挨拶の締めの言葉
文藝春秋だかの女優特集で同世代の若尾文子や山本富士子、岡田茉莉子の名前はあったのに有馬さんの名前は無かったとか
曰く、私のほうがいい作品出ている、負けてないと
文藝春秋は見る目がないと毒づく姿を見て、笑いも起きていたけど、さすが当時のスター女優、そうじゃなきゃダメですよね!これくらい我が強くないと務まらないですよね!女優有馬稲子まだまだ健在だなと

正直この特集で見る前は出演作あまり見ていなくて、代表作ってあるかなぁとか思っていて、上述の女優さん達のほうが格上感していたけど、実際見てみるとどの作品も面白いし、そして美しい!決して負けてないです!自分の作品に自信を持って誇れるってのも素敵だなー
さらに今回のインタビュアー樋口尚文氏の次回作(川端康成原作とか)への出演が内定しているらしく、まだまだ現役なバイタリティの凄さ!少しは見習いたいです、、、
らんらん

らんらん