Mikiyoshi1986

オー!のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

オー!(1968年製作の映画)
3.6
明日10月30日はロベール・アンリコ作品において印象的なヒロインを演じた女優ジョアンナ・シムカス74歳のお誕生日!
(なぜか日本のwikiは10月10日生まれになっているけど、これ誤り)

アンリコ監督の名作「冒険者たち」「若草の萌えるころ」に続き、彼の作品で3度目のヒロインを演じたシムカスは本作が随一の美しさだと断言します!
ほんと観てるだけで惚れ惚れする。好き。ドキドキするわ。

本作ではべルモンド演じる主人公オーの恋人ベネディット役を務め、お金持ちのモデルとして活躍する売れっ子ぶりを披露。
街頭の巨大広告やELLEの表紙、GIVENCHYの宣伝など、劇中で魅せるそのフォトジェニックな美貌は圧倒的であります。
裏社会に固執するオーに対し、拒絶する気持ちと愛する気持ちで揺れる姿がこれまたいじらしい。

一方のべルモンドはカーレースの事故で免許を剥奪され、今は犯罪組織で下働きをするうだつの上がらない男を熱演。
特に刑務所での面接で感情を露にするシーンは胸に刺さります。

負け犬の人生から這い出そう、成り上がってやろうという彼の一念発起は「冒険者たち」のアラン・ドロンにも通じ、
アンリコ仕立ての軽快でほろ苦い演出がオーの哀愁を際立たせます。
ちなみにアラン・ドロンは空港前で彼らの車に轢かれそうになる男役でカメオ出演!
最後躓く演技まで魅せてくれるドロン様、ほんと素敵です。

スリリングな銀行強盗、華麗なる脱獄劇、新聞記者との絆、迫力のカーレース、そして哀しき銃撃戦と、"男のストーリー"を仕上げた原作者はその筋で名の知れたジョゼ・ジョヴァンニ。
実際に犯罪組織に属し、死刑囚にまでなったジョヴァンニはその経験を活かして執筆活動を始め、
獄中の実体験を元にした処女作「穴」は映画化によってジャック・ベッケル監督の遺作にして最高傑作となりえました。
「冒険者たち」も元々ジョヴァンニの原作であり、シムカスの役には毎度泣かされるのです…。
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