ふかい

豚と軍艦のふかいのレビュー・感想・評価

豚と軍艦(1961年製作の映画)
4.7
何を言っているのか本当にわからず、5割くらいしか聞き取れた自信がないが、それだとしてもはちゃめちゃに面白い。

汚い川に浮かび上がる白目の死体、麻雀卓に置かれる豚の丸焼き(!)、そこから出てくる金歯。一度見たら誰もが忘れられないであろう街に放たれる大量の豚、それに押し潰されるヤクザ達(食物連鎖の下克上!)、
便器に顔から突っ込む。

ヤクザの親分が電車に飛び込もうとしたが出来ず、必死に捕まっていたのは保険の広告(家族で安心の生活!みたいな文言)という皮肉の効いたショットが素晴らしい。

若き長門裕之は途中から「殺人の追憶」の知的障害を抱えるあの人にしか見えない。(確かポンジュノは今村ファンを公言してた気がする)

米兵に押し倒されるヒロインを真上から捕らえ、グルグルカメラが回るショットはそのままギャスパー・ノエの「アレックス」で出てきた気がする。(ギャスパーノエだけでなく、ウェスアンダーソンやマーティンスコセッシもフェイバリットとして本作を上げている)

キャーキャーと米兵に手を振る女性達の間を毅然とした態度で通り抜けていくヒロインの姿はとても力強く見え、個人の選択を優先する女性讃歌映画としても解釈できる。
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