ゆず

Dolls ドールズのゆずのレビュー・感想・評価

Dolls ドールズ(2002年製作の映画)
3.1
壊れた菅野美穂、
落ちぶれる西島秀俊、
ボケてる松原智恵子、
踊りにキレがない深田恭子。

セリフよりも演技よりも映像で魅せる作品だった。セリフの少なさは次の言葉が待ち遠しいほどで、全編に渡って抑鬱的な雰囲気が支配してる。物語は、ある壊れた男女のあてどない破綻した旅で、光明も何も示されないままひたすら息苦しい。そのメインの話をほっとくぐらいの勢いで別の2組の男女の物語が展開するので、本当にモヤモヤが解消されないままゆっくりと真綿で首を絞められるようなそんな感覚。

描かれているのは偏執的な愛がもたらす不幸。深い愛情ゆえに、おかしくなってしまった人たちが登場する。愛する人に裏切られたことで心を病み、まるで人形のように退行してしまった女と、裏切ったことで罪悪感に苛まれ、生活を捨ててあてどなく女を連れ回す男。若い頃に去って行った男がいつか戻ってくると何十年も公園で待ち続ける女。推しのアイドルへの憧れから自分の体を差し出すファン。描かれているのはどれも相手への強い執着。それを失えば心を乱して、生きていけなくなるほどの依存。本当に深く愛するということは執着なのかもしれない、依存し合うことなのかもしれない。その愛の行く末が不幸な結末だったとしても、その不幸すら受け入れてしまえる愛の怖さを感じる作品だった。

人気アイドル役の深田恭子のダンスがヘタ過ぎて唯一そこだけ笑えた。「もっとしっかり踊れ!」と叱りたくなるレベル。でも実は持ち歌だった…!PVでも同じ振り付けだった…!演出だったのか…!?
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