HAYATO

ネバーエンディング・ストーリーのHAYATOのレビュー・感想・評価

3.5
2024年231本目
虚無の恐怖が迫り来る
世界中で親しまれているミヒャエル・エンデの児童文学『はてしない物語』を実写化したファンタジーアドベンチャー
いじめられっ子の少年・バスチアンは、ある日、古書店で1冊の本と出会い、学校の天井裏で夢中になって読み始める。そこに書かれていたのは、「虚無」に覆い尽くされる危機に陥っている異世界の王国「ファンタージェン」を救おうとする少年・アトレーユの冒険物語。やがて、バスチアンは不思議な力に導かれ、本の中の世界に入っていき…。
『Uボート』で脚光を浴びたウォルフガンク・ペーターゼンが監督を務め、『フランケンウィニー』のバレット・オリバー、『宇宙空母ギャラクティカ』のノア・ハザウェイ、『チャーリーとチョコレート工場』のウンパルンパ役でお馴染みディープ・ロイ、タミー・ストロナッハ、モーゼス・ガン、パトリシア・ヘイズらが出演している。
リマールによる主題歌“The Never Ending Story”が有名で、今では老若男女に愛される名作のイメージが強い本作だが、公開当時アメリカでは期待されたほどヒットせず、ビデオの普及とともにカルト的な人気を獲得していったそうだ。
物語は、学校の屋根裏で密かに本を読むバスチアンの姿と、ファンタージェンを救おうとするアトレーユの冒険を交互に映す形式。SFX等を駆使して表現されたファンタージェンの幻想的な世界観やユニークなキャラクターは、現代のファンタジー映画とは一味違った趣がある。当時の最新技術が使われたとはいえ、セットや着ぐるみの制作、操演には相当な時間を費やしたであろうことが画面を通して伝わってきた。
不思議な本の世界に入り込んでいくストーリーは王道ながらもワクワクする展開で、想像力の大切さと素晴らしさを教えてくれた。子供の頃にも見たかったな。
本作のエンディングを巡って原作者・エンデと製作陣が対立し、裁判沙汰にまで発展。その後も色々と訴訟が起こされ、『はてしない物語』の再映画化の企画が持ち上がったり消滅したりを繰り返していたそうだが、最近ようやく再映画化企画が動き出したとVarietyが報じていた。『英国王のスピーチ』や『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を手掛けたシーソー・フィルムズが熾烈な争奪戦を制したみたいなので、超進化した現代の映像技術でどのように映画化されるのか非常に楽しみ。
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