イチロヲ

ムカデ人間2のイチロヲのレビュー・感想・評価

ムカデ人間2(2011年製作の映画)
4.0
映画「ムカデ人間」に触発された男が、映画内容を遥かに凌駕する巨大ムカデ人間を創造させようとする。前作をメタ要素として取り入れている、シリーズ第2弾。

本作の主人公は、チビ・ハゲ・デブの3拍子が揃っている、発達障害者の男性。周囲から邪険にされている弱者だからこその、捻くれた感情の爆発が表現されている。やっていることは非人道的行為だけども、どこかしらでシンパシーを得られるところが醍醐味。

惜しむらくは、主人公が複数名を繋げたムカデ人間の創造を始めると、グロテスク描写に注力するあまり、物語が停滞してしまうところ。前作では、科学者が今にも仕返しを受けそうな緊張感が働いていたのだが、本作ではそのムードが希薄になっている。

とはいえ、「スナッフ・フィルムの模倣作品」という観点では上々の出来栄え。汚れ役を演じている役者たちに、多くのサムズアップを送りたくなる。「弱者には弱者なりの幸せがある」を暗示させる語り口にも、落涙を禁じ得ない。
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