物語はモノクロ画面の薄暗いトーンで始まる。都会で働く主人公が、父の葬儀でひさびさに帰郷する。年老いた母親は、取り壊し寸前の小学校の前にすわり、いつまでも泣いている。父は学校の教員だったのである。
ここから父と母の出会いが語り始められるのだが、画面は一転して鮮やかな色彩にいろどられる。若いころ村一番の美人だといわれた母親(チャン・ツィイー)の、はにかむような笑顔。
中国の片田舎の自然の美しさ。思わずホロリとするような素朴で温かいストーリー。佳作だと思う。
ただ、意地の悪い見方をすれば、あまりにもチャン・ツィイーの魅力に頼りすぎた、男目線のファンタジー、と言うこともできるかもしれない。女性が見たらまた違った感想になるのかも。