Blake1757

12人の優しい日本人のBlake1757のレビュー・感想・評価

12人の優しい日本人(1991年製作の映画)
3.0
少し前にオリジナル(『12人の怒れる男』)を観た流れでの鑑賞。
悪くはないのだけれど、なんとなくダイナミズムに欠ける感がするのは、キャメラの動き(カット割り)がやや平凡だからか。あるいは、やはりヘンリー・フォンダ的な(ある種ティピカルな)アメリカン・ヒーローの不在によるものか。豊川悦司はかっこよかったけれども。最後に「正体」をバラすところも粋だったしね。
「さえないおじさんとおばさん」が重要な役どころになっていくところは、「大衆が主知主義を揶揄して留飲を下げ」るような反知性主義の構図になるのかなって嫌な予感はしたんだけど、ラストのギリギリのとこでその陥穽に落ちなかったのは、三谷幸喜のバランス感覚なのだろう。まあタイトルからして「悪役」が居ないことは宣言されてるわけだけど。
陪審員室の「最後の一人」については、オリジナルへのオマージュなんでしょうね。あれはあれで、よかったけれど。
(筒井康隆の『12人の浮かれる男』も映像化されてた気がしてたんだけど、調べたら演劇として上演されただけで映像化はされてないようで、残念。)
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