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子猫をお願いのtilyokujinのレビュー・感想・評価

子猫をお願い(2001年製作の映画)
4.6
冒頭の5人のクライマックス感から始まり、お互い別々の道を進み、ラストは唐突なgoodbyeで希望を見せて終わる。
飛行機に乗った2人は成長して自立できたという終わりを勝手に突きつけられたように感じたが、本当はこの先も辛い道が沢山あるはず。でも彼女らの優しさや信念の強さは10年後でも変わっていないのだと思う。

お互い少し苦しんでいても、あの5人で集まった時の無敵感(麻薬のような時間)がすっごく美しかった。
好きなシーンはショッピングモールで5人が買い物してるところ。あそこに彼女らの生き方(これまでの)が映ってると感じた。テヒは勧められたものを買い。ヘジュは服や価値の高いものを良しとし。ジヨンは欲しそうに見るものの立ち止まれない。双子でさえもはぐれてしまう。それはこの先必ずしも一緒ではなくなるという未来。

〜ヘジュ〜 10年後の5人組を考えた時に、やはり1番苦しいのは企業勤めのヘジュなんだろう。商業高校卒ながら親のコネで入社して、若さという武器のみで仕事を任される。下からは若くて優秀な人財も入ってくる。
でもヘジュは全てが悪いわけではない。確かにジヨンに酷いことを言ったり、地位で下の人を差別的に見たりしていたけど、そうさせたのは社会や家族などの大人たちのせい、と思った。

〜テヒ〜 1番の優しさを持ち、実は1番苦しんでいるのがテヒだと思った。なぜならジヨンやヘジュは環境の変化が大きく自分を変えなければいけない。自立しなければいけない。に対して、テヒは親の元で働いていたりそれなりに裕福であったりと、締め切りのない焦りがあったのだと思う。だからこそ、ワーキングホリデーを考えたし、家族写真から自分を切り取ったのだと思う。セリフも良かった。「体に触れる暴力じゃない暴力もある」「あなたは残る人と去る人に分けるけど、嫌いな人だけが去るわけではない」(うるおぼえ) ぺドゥナ可愛かったー

学生から社会人になったタイミングで観れて良かった。もう少し早くても遅くても彼女らの気持ちを汲み取れなかったかもしれない。
BGMも小物もどれもが懐かしく、携帯のメール文が画面に表示されるのも、エンドロールも可愛かった。
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